プロパンガスと都市ガスの違い
プロパンガスと都市ガスはどっちが便利でお得なのか考えるとき、いろいろな条件によって結果が変わってきます。
あなたの暮らしをより安全で快適なものにするには、何をポイントにして選べばよいのでしょうか。
- 安全性
- 災害時の復旧目安
- 導入コスト
- 火力
①:安全性
ガスを利用する際に気になるのは、その安全性です。
平成29年度の統計では、住宅での事故件数や死亡者・負傷者の数はプロパンガスの場合の方が多くなっています。
理由として考えられるのは、ガスの性質の違いです。
都市ガスはメタンが主成分の天然ガスです。
空気より軽く、部屋の天井に貯まります。
プロパンガスはプロパン・ブタンが主成分の液化石油ガス(LPG)です。
空気より重く、部屋の床に貯まります。
都市ガスが換気扇をつければ排出されやすいのに対して、プロパンガスはサッシやドアを開けないと排出されることはありません。
この性質の違いが安全性の違いとなって表れているのではないでしょうか。
②:災害時の復旧目安
災害時のライフラインの復旧は、とにかく早いに越したことはありませんよね。
調理はカセットコンロで対応できても、給湯設備はそうはいきません。
災害時の復旧目安として、プロパンガスは3日~1週間程度 、都市ガスは1~2ヶ月程度 の時間が必要とされています。
これは供給方法の違いによるものです。
プロパンガスは各住宅のガスボンベから供給されます。
一方都市ガスは各家庭に引き込まれたガスの導管を通じて供給されます。
プロパンガスは、ボンベが無事でその家庭のガス設備に問題がなければ復旧はすぐに可能です。
これに対して都市ガスは、導管からのガス漏れや設備の異常がないか、一定の地域ごとに確認が必要なため、時間がかかるのです。
③:導入コスト
導入にかかる初期費用は、ボンベと家庭内の設備があればよいプロパンガスが安上がりに思えますよね。
しかし、実際はそうでもなさそうです。
プロパンガスの毎月の料金には、ボンベの配送費用と共に初期費用が上乗せされている場合が多いのです。
スマホを0円で手に入れても、月々の料金に端末代金が含まれる仕組みと似ています。
会社により違いますが、一般にプロパンガスの契約は長期間継続する前提になっています。
1~2年の短期間で途中解約すると、10~20万円の違約金が発生する場合もあるんです。
都市ガスの引き込み費用は、10~20万円前後が一般的です。
実際にガス配管の導入費の見積もりをしたら、元の導管からの距離が遠く50万円を越えるケースもあるほど。
都市ガスを使う住宅が建つ場所により大きな違いが出てきます。
④:火力
プロパンガスと都市ガスでは、その火力にかなりの違いがあるのをご存知でしょうか。
具体的な数値で比較してみましょう。
都市ガスの火力(熱量/ カロリー)は1m3 あたり10,750Kcal。
プロパンガスは1m3あたり24,000Kcalです。
プロパンガスは都市ガスに比べて2.23倍の火力があることになります。
飲食店や製造工場などでプロパンガスの利用が多いのは、この火力の違いがあるためです。
プロパンガスと都市ガスの料金を比較してみた!
今度は料金がどれくらい違うものなのか、詳しく見てみましょう。
秋田県の場合で比較してみます。
秋田を選んだのは、都市ガスの普及率が低そうなので、プロパンガスと都市ガスの違いが出にくいのではと思ったからです。
プロパンガスと都市ガスを同じ条件で比べるため都市ガスの従量料金を2.23倍し、20㎥利用した場合の消費税込価格がこちら 。
【秋田県のプロパンガス料金】 15,097円
基本料金 1,857円 + 従量料金 13,240円 = 合計請求額 15,097円
【秋田県の都市ガス料金】 8,765円
基本料金 896.40円 + 従量料金 7,868.77円 = 合計請求額 8765.17円
計算の際には、下記ページの数値を参考にしました。
<プロパンガス料金>
一般社団法人石油情報センター 一般小売価格 LP(プロパン)ガス 確報(偶数月調査)
<都市ガス料金>
東京ガス(株)発表「東京地区2019年4月検針分(20m3~80m3)」
東部ガス(株)発表 秋田県「2019年4月検針分(7㎥をこえ 24㎥まで)」
こうして比較すると、明らかにプロパンガスが高いですね。
東京都の場合も同じ条件で計算してみたらこうなりました。
【東京都のプロパンガス料金】12,150円
【東京都の都市ガス料金】7029.7円
秋田県より全体に安く、差は縮みましたがプロパンガスが高かったです。
しかし、これが全国で必ずこうなるかというと、そうでもありません。
プロパンガスの価格は業者によってかなり違う、という点がポイントです。
計算では「平均価格」を使いました。
ということは、平均よりずっと安い価格の業者も選べますし、プロパンガスのほうが安い場合もありえます。
お住まいの地域ではどの事業者を利用できるか下記ページで調べて、見積もりを取ることをおすすめします。
プロパンガスから都市ガスに切り替える方法
やっぱりプロパンガスは高いから都市ガスに切り替えようという時には、どんな手順を踏めばいいのでしょうか。
まずは事前の下調べが二つ必要です。
一つ目に、住んでいる地域で都市ガスが供給されているかどうかを調べましょう。
資源エネルギー庁の一般ガス事業者供給エリアマップ(平成26年11月版)や、各ガス会社の供給エリアマップで確認できます。
二つ目として、プロパンガスを解約する際どの程度の違約金が発生するかを確認しておきましょう。
契約からの期間が数年以内であれば、万単位で違約金を支払う必要があるかもしれません。
以上の2点を確認したら、いよいよ切り替えの手続きです。
こちらの手順をふんでいきます。
- 都市ガス会社を選ぶ
- 自宅を訪問してもらい、見積りを取ってもらう
- 契約を行う
- ガス導管引き込み工事の調整
- プロパンガス会社へ連絡
- ガス導管の引き込み工事・供給開始
見積もりを取ってもらう時に、ガスを引き込むルートの確認をお忘れなく。
公道の導管から自宅までのルート上に近隣住民の私道が含まれている場合、私道の所有者の許可が必要になるので注意が必要です。
実際の引き込み工事開始までは1~2か月ほどかかります。
プロパンガスの設備(ボンベ・メーターなど)は、都市ガスの工事の日に撤去してもらうよう調整しましょう。
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ガスの見直しは長期的な視点で
プロパンガスと都市ガスの違いや料金の比較結果をご紹介してきました。
安全性や災害時の復旧に要する時間など、どの条件を重視するのかで選択が変わってきます。
特に料金は、ガスの種類だけでなくお住まいの場所や事業者によりかなりの違いが出てきます。
自宅を購入する際などに、長期的な視点でしっかりと費用を見積もって後悔しない選択をしましょう。