布団にカビがはえる原因とは?
温度、湿度、栄養源になるものが揃うと、カビがはえやすくなります。
布団にカビがはえるのは、次のような原因があります。
- 部屋の湿度が高い
- 布団を敷きっぱなしにする
- フローリングに布団を敷く
- カーペットを敷いている
カビの原因①:部屋の湿度が高い
近年、住まいの断熱化・気密化が進み、室内の湿度が高くなりやすくなりました。
特に、冬は暖房の影響から、室内と室外の温度差が大きく、結露ができやすいです。
寝室は閉めきっていることが多く、換気がされないために湿度が高いまま。
さらに、日当たりが悪いと、布団の湿気はこもり、窓の結露は乾きません。
湿度がたまってしまい、カビが繁殖してしまいます。
カビの原因②:布団を敷きっぱなしにする
人は、寝ている間にコップ1杯分の汗をかくといわれています。
寝汗により、布団は湿気ているのです。
布団を敷きっぱなしにしていると、布団の湿気がこもって、床や布団にカビがはえる原因に。
カビの原因③:フローリングに布団を敷く
布団は、寝汗により、湿気を含んでいます。
畳は吸湿作用があるので、布団を直に敷いても、布団の湿気を抑えます。
一方、フローリングには吸湿作用がありません。
フローリングに直接、布団を敷くと、空気のすきまがないので、湿気がこもってしまいます。
その結果、カビがはえやすくなるのです。
カビの原因④:カーペットを敷いている
床にカーペットを敷くと、部屋全体に湿度がたまりやすくなります。
フローリングはもちろん、畳の床でも、湿度がたまることに。
畳には、吸湿作用がありますが、カーペットを敷くと、空気が通りにくくなるため、湿度がたまりやすくなるのです。
カーペットの上に布団を敷くと、体温で温められた温度や寝汗による湿度、ゴミなどでカーペットにカビがはえやすくなり、カーペットのカビが布団についてしまいます。
布団のカビは身体にどのような影響を与えるのか?
カビのはえた布団では、落ち着いて眠ることができないだけでなく、健康に影響が出ることも。
カビが原因となる病気には、以下のようなものがあります。
- アレルギー性鼻炎
- アトピー性皮膚炎
- 気管支ぜんそく
- 過敏性肺臓炎
- 気管支肺アスペルギルス症
- 肝臓がん
- 肺がん
アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜に入った異物を除こうとする反応が過剰に起こる鼻炎です。
アレルギー性鼻炎の原因の一つに、布団につくススカビが関係しているといわれています。
ススカビを吸うことで、アレルゲンになり、アトピー性皮膚炎の原因にも。
アトピー性皮膚炎は、アレルギーを起こしやすい体質や皮膚のバリア機能が弱い人が発症しやすいです。
過敏性肺臓炎は、肺胞(肺にある小さな袋)や細気管支(細い気道)のなかや周囲に発生する炎症のこと。
カビや化学物質などを繰り返し吸い込むことで発症し、息切れ、せき、発熱などの症状がでます。
原因となるカビや化学物質を避けることで改善はしますが、長期間、カビや化学物質を吸っていると、肺の炎症が慢性化してしまいます。
また、免疫力が低い高齢者や小さなお子さん、疲労がたまって免疫力が落ちている人がカビを大量に吸うと、肺にカビが入ってしまい、気管支肺アスペルギルス症の原因に。
気管支肺アスペルギルス(ABPA)は、肺のアレルギー反応でコウジカビにより発症します。
症状は、咳や発熱、呼吸困難など。
咳や微熱といった風邪のような症状や息切れや疲労が長く続く時は、カビが原因の病気である可能性も考慮しましょう。
コウジカビは、一般的には、粉状で胞子は無色のものが多いです。
繁殖力は、乾いたところでも繁殖するほど強いです。
150種類ほどあり、亜種のフラバスは肝臓がんの原因に。
他に、肺がんの原因となるアフラトキシンというカビ毒を生み出す菌もあります。
放置すると、深刻な健康被害をもたらすカビ菌です。
布団につきやすいカビの種類とは?
布団につきやすいカビ①:コウジカビ
コウジカビ(学名アスペルギルス)は、自然界に広く分布しています。
乾いたところでも繁殖し、白、黄、緑、黒など、まだらに変化します。
菌の酵素力が強く、日本では古くから、味噌、醤油、清酒など、有効利用されてきました。
ですが、肺に入ると、気管支肺アスペルギルス症や呼吸器アレルギーの原因になります。
布団につきやすいカビ②:ススカビ
ススカビ(学名アルテルナリア)は、黒くスス状のカビです。
ススカビの胞子は軽く、部屋の空気中に漂っていることも。
非常に湿気を好み、住宅の壁、塗装面、プラスチックなどから検出されます。
アレルゲン、気管支ぜんそく、過敏性肺臓炎の原因になるので、ハウスダストとともに注意が必要です。
布団につきやすいカビ③:黒色酵母
黒色酵母(学名オーレオバシデウム)は、広く自然界に分布し、太陽の光にも乾燥にも強いカビです。
浴室や排水溝のヌメリの原因になり、衣類やタオル、布団などにも発生。
胞子を吸い込むと、過敏性肺炎の原因になります。
布団のカビ取りに効果的なアイテムをご紹介!
カビの程度によっては、ご家庭でも布団についたカビを取ることができます。
カビ取りできるアイテムに、以下のようなものがあります。
- 重曹
- 消毒用エタノール
- カビ取りスプレー
- 衣類用漂白剤
化学物質を含まず、環境にやさしい自然由来のナチュラル洗剤として有名な重曹は、カビ取りにも効果があります。
重曹は、「炭酸水素ナトリウム」「重炭酸ソーダ」ともいい、料理や掃除、胃薬としても使われるほど、安全で用途の広いアイテムです。
重曹の特徴は、粒子が細かく、水に溶けにくく、常温で安定しているので、長期保存ができること。
ごく弱いアルカリ性を示し、タンパク質を分解する作用があります。
カビ菌の細胞は、タンパク質、脂質、糖質、酢酸などが集まってできています。
重曹の弱アルカリ性により、カビのタンパク質をゆるめ、カビの働きを弱めますよ。
丸洗いが難しい敷布団のカビは、重曹を使って拭き取りましょう。
重曹で拭き終わったら、消毒用エタノールで菌を減らします。
消毒用エタノールをカビかけて5分置きます。
その後、叩くように拭き取り、水でよく拭きあげましょう。
重曹でとれないカビは、市販のカビ取りスプレーを使ってみても。
カビ取りスプレーは、いろいろな種類があるので、必ず、布団に対応しているかを確認してください。
布団本体ではなく、カバーやシーツの場合は、丸洗いしてカビ取りできます。
最初は、酵素系漂白剤を使ってみましょう。
液体の酵素系漂白剤を水に溶かし、カビのはえたカバーやシーツをつけます。
1時間程度つけ置きし、洗濯機をかけます。
酵素系漂白剤ですから、色柄物にも使うことができます。
カビの程度がひどくなければ、酵素系漂白剤で目立たなくなります。
真っ白なカバーやシーツでしたら、塩素系漂白剤も使えます。
色落ちするので、色柄物には向きません。
塩素系漂白剤は刺激の強い薬品ですので、使用時は手袋やマスクをつけ、必ず換気をします。
布団のカビ取りの方法とは?
カビの程度によっては、自宅でカビ取りできます。
布団を処分する前に、お試しください。
- 重曹を使う
- 漂白剤を使う
- カビ取りスプレーを使う
- クリーニングに出す
布団のカビ取りの方法①:重曹を使う
敷布団にはえたカビは、重曹を使って取ります。
水300mlに対し、重曹大さじ1~2杯を溶かした重曹水、濃度70~80%のエタノールを用意します。
布団表面に粉状のカビがあれば、ティッシュなどでこすらずにつまみ取ります。
次に、濡らしたティッシュやペーパーで、布団の表面のカビを叩くように取りましょう。
重曹水をカビの部分にかけて湿らせます。
重曹水はスプレーボトルに入れ、スプレーするといいですね。
スプレー後、2~3分間置き、カビの部分をタオルで叩き、吸い取ります。
一度でカビが取れなければ、重曹水をかける、数分おく、タオルで叩くを繰り返しましょう。
カビを取りができたら、エタノールを使って殺菌します。
キッチンペーパーにエタノールを染み込ませ、カビの部分に貼りつけます。
数分おき、タオルで叩いて吸い取り。
最後に、風通しの良いところで布団を陰干しし、乾燥させておきましょう。
布団に水分が残っているとカビの原因となります。
ご注意ください。
布団のカビ取りの方法②:漂白剤を使う
重曹でカビが取れない場合、衣類用漂白剤をお試しください。
濡らした雑巾に衣料用塩素系漂白剤を含ませ、カビの部分を叩くように拭き取ります。
塩素系漂白剤は刺激の強い薬品なので、必ず、換気をしながら、ゴム手袋をつけて作業をしてください。
布団カバーやシーツにカビがはえた場合は、衣類用漂白剤を使って丸洗いします。
色落ちの心配のないまっしろな布団カバーやシーツは塩素系漂白剤を使います。
使用する漂白剤の規定に従い、1~2時間つけ置きします。
つけ置きする時は、お湯を使うとより効果があります。
浸け置き後、残ったカビは歯ブラシなどでこすり落としましょう。
洗濯機ですすぎ洗い、天日干しでしっかり乾燥させます。
色落ちの心配があるものは、酵素系漂白剤を使います。
酵素系漂白剤では、カビのシミ汚れは落ちないかもしれませんが、菌は死滅するので繁殖しません。
塩素系漂白剤は刺激の強い薬品ですから、忘れずに換気をしましょう。
布団のカビ取りの方法③:カビ取りスプレーを使う
市販のカビ取りスプレーも効果があります。
いろいろな製品が販売されていますので、必ず、布団に対応しているかを確認して購入してください。
カビのあるところに湿らすようにスプレーし、20~30分程度おいて、様子をみます。
30分おいても、カビが落ちないときは、再度、スプレーしてください。
濡らした雑巾で、布団を叩いて拭き取ります。
布団のカビ取りの方法④:クリーニングに出す
ご自分で落とせないときは、クリーニングに出します。
布団専門のクリーニング店なら、専用の機械を使い、しっかりカビ取りします。
自宅で漂白剤を使うと、扱い方によっては布団や表面の布が傷んだり、色落ちしたり。
また、換気を十分にしないと、刺激が強いので危険です。
布団は、重くてかさばるので、お店まで運ぶのは大変。
自宅から発送・受取りできる宅配クリーニングがおすすめ。
布団専門のクリーニングは、丸ごと水洗いします。
布団の綿の中に入り込んだ汗、汚れ、カビ菌までしっかり洗い流します。
布団のカビ予防対策をご紹介!
カビを予防する一番の方法は、湿度をためないことです。
それには、次のことを気をつけましょう。
- こまめに布団を干す
- 寝室の換気を心がける
- 布団カバーやシーツをこまめに取り換える
- フローリングに直接布団を敷かない
- 窓のそばにベッドを置かない
布製品のカビ予防対策①:こまめに布団を干す
布団を干すことで、風が通り、布団の湿気を取ることができます。
少なくても、週に一度は布団を干しましょう。
外に布団を干す時間帯は、10~15時の間がベストです。
布団の表面と裏面を交互に干すと、より湿気を取り除くことができます。
布団の種類によって、直射日光を当てると生地が傷みます。
布団の取扱説明書を確認しましょう。
直射日光がダメな場合は、陰干しや室内干しをします。
雨の多い季節や湿度が高い部屋では、布団乾燥機の使用をご検討ください。
布製品のカビ予防対策②: 寝室の換気を心がける
寝室は、日中、あまり使わずに、閉めきっていることが多いのではないでしょうか。
閉めきった部屋は、湿度がたまりやすくなります。
特に、冬は暖房をいれると、室外と室内の気温の差が大きくなり、窓に結露がたまりやすくなり、部屋の湿度が高くなってしまいます。
部屋の湿度が高くなることで、窓やカーテン、壁など、布団以外の場所もカビが生えやすくなります。
毎日、空気を入れ換え、部屋の湿気がこもらないようにしましょう。
部屋のすみや家具の間など、湿気のたまりやすい場所に扇風機やサーキュレーターを使うと、風を通すことで湿気を逃がすことができます。
布製品のカビ予防対策③:布団カバーやシーツをこまめに取り換える
布団カバーやシーツには、寝汗による湿気、フケや髪の毛などのゴミがつきます。
これらはカビの温床になります。
布団カバーやシーツは、こまめに取り替えるようにしましょう。
少なくても、週に一度は取り換えてください。
布製品のカビ予防対策④:フローリングに直接布団を敷かない
フローリングに、直接、布団を敷いて寝ると湿気がたまりやすくなります。
フローリングに布団を敷く場合は、布団の下に除湿マットやすのこなどを敷くと良いでしょう。
ただし、敷きっぱなしの状態では、湿気がたまり、カビの原因になります。
布団だけでなく、定期的にすのこや除湿マットも干すようにしましょう。
除湿マットには丸洗いできるタイプもあります。
シーツと同じように、洗濯、天日干しすると、よりカビ予防に効果的なりますね。
すのこにカビがはえてしまったら、アルコール除菌スプレーをかけ、拭き取ります。
布製品のカビ予防対策⑤:壁や窓のそばにベッドを置かない
ベッドや布団を壁につけてしまうと、空気の流れが悪くなり、湿気がたまります。窓は、冬に結露ができやすく、窓のそばに布団を敷くと、布団が濡れてしまうことも。
壁や窓のそばにベッドを置いたり、布団を敷かないようにしましょう。
10㎝程度はすき間ができるように、壁や窓から離しておきましょう。
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カビを防いで快適な布団
カビのはえた布団では、ゆっくり落ち着いて眠ることができません。
十分な睡眠がとれなければ、いくら眠っても疲れがとれないでしょう。
疲れがとれないだけでなく、カビの種類によって、重大な健康被害が出る可能性もあります。
部屋の換気や布団を干したりといった少しの努力で、カビを予防できます。
清潔で快適な布団に寝て、質の良い睡眠をとってくださいね。