引っ越し祝いに「のし」は必要
結論から言うと、引っ越し祝いを贈る際、のしは必要です。
新居に招待されたときなどに手土産を渡すような感覚で渡してしまいがちです。
のしを付けると堅苦しくなってしまいそうと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、それはマナー違反です。
なぜ贈り物にのしが必要なのかご存知ですか?
そもそも「のし」の由来は、昔、アワビを薄く伸ばして干したもの(ノシアワビ)を縁起物として贈り物に添えていたことからきています。
時代が進み、昆布や紙で代用されるようになり、現在はのし紙や祝儀袋が一般的になりました。
のしは、神様や仏様への贈り物が由来となっていますので、「大切な贈り物」、「相手を敬う」という意味が込められています。
縁起のよいことを祝うために使用します。
引っ越し祝い「のし」の表書き5選
引っ越し祝いののしの表書きはどのようになるのでしょうか。
相手の引っ越し先によって表書きは変わってきます。
以下の5つのパターンを紹介します。
- 新築一軒家・新築マンションの場合
- 中古一軒家・中古マンションの場合
- 昇進が理由の引っ越しの場合
- 結婚に伴う引っ越しの場合
- 単なる転勤や左遷が理由の引っ越しの場合
一緒に確認していきましょう。
新築一軒家・新築マンションの場合:御新築御祝、御祝
新築の一軒家や新築のマンションへの引っ越しのときののしの表書きは、「御新築御祝」、「御祝」とするのが一般的です。
新築マンションへの引っ越しで「新築祝い」とすると違和感を感じるかもしれませんが、「新築祝い」とするのがマナーです。
中古のマンションではなく新築のマンションであるということを強調することで相手の気持ちも汲むことができます。
また、相手が企業の場合で、新社地や新しい店舗を建てた場合も「新築祝い」とします。
新しい環境で一歩を踏み出す相手のさらなる活躍を祈願するという意味合いが込められています。
中古一軒家・中古マンションの場合:御新居御祝、御引越御祝、御祝
中古の一軒家や中古のマンションへの引っ越しのときののしの表書きは、「御新居御祝」、「御引越御祝」、「御祝」とするのが一般的です。
中古の一軒家や中古のマンションなのに「御新築御祝」としてしまうと、失礼に当たりますので、新築かどうかわからない場合は「御祝」とするのが無難です。
昇進や栄転が理由の引っ越しの場合:御栄転御祝、御祝
昇進が理由の引っ越しの場合ののしの表書きは「御栄転御祝」、「御祝」とするのが一般的です。
しかし、この場合は「昇進祝い」として贈った方が無難かもしれませんね。
相手が同じ職場のときは特に注意が必要です。
結婚が理由の引っ越しの場合:寿
結婚が理由の引っ越しのときののしの表書きは「寿」とします。
引っ越し祝いというよりも、結婚を祝うという意味合いが強いといえます。
単なる転勤や左遷が理由の引っ越しの場合:御餞別
単なる転勤や左遷が理由の引っ越しのときののしの表書きは「御餞別」とします。
さらに賃貸への引っ越しの場合も「御餞別」が適当です。
おめでたい理由の引っ越しではない場合、表書きを「御祝」としてしまうと皮肉めいた意味が込められてしまいますので注意しましょう。
引っ越し祝いの「のし」連名の書き方
夫婦の連名で贈る際には、夫の名前を中央にフルネームで書き、その左側に妻の名前を書きます。
妻の名字は夫と同じであれば書かなくてもかまいません。
3名以下の連名で贈る際は、目上の人や年長者の名前を右側に書き、他2名の名前はその左側に並べて書きます。
目上の人の名前が右側にくるように書けば問題ないです。
その他の場合は、50音順で並べて書きましょう。
職場のグループや4名以上の連名で贈る際には、代表者の名前を中央に書き、左側に「○○一同」と書きます。
お金であればその封筒の中に、お金を出した人の名前を書いた紙を入れておきましょう。
名前を書くときは、水引やのしにかからないように、また、表書きの字よりも大きくならないようにします。
引っ越し祝いの「のし」は紅白蝶結びの水引
引越し祝いでは、紅白の蝶結びの水引を使います。
引越しや新築というのは何度あっても良いことだとされています。
そのため、何度でも結び直すことが出来る蝶結びの水引が、引越し祝いでは良いとされているのです。
引っ越し祝いお返しにも「のし」は必要
引っ越し祝いのお返しは、新居に招待しておもてなしをするのが一番ですが、遠方であったり、何らかの事情があって招待できない場合には、贈り物をすることもあります。
そのときの贈り物にも、のしが必要です。
引っ越し祝いのお返しに付けるのしの表書きは、「内祝」、「御礼」とするのが一般的です。
表書きの下には、世帯主の名前を書きます。
名字でもフルネームでもどちらでもかまいません。
引っ越し祝いのお返しは郵送する場合が多いです。
その場合は、「内のし」という方法を用います。
のしが汚れないように、のし紙を付けた後に包装する方法です。
引っ越し祝いに関する大事なマナー3選
引っ越し祝いを贈る上で大切なマナーがあります。
以下の3つをご紹介します。
- 贈る品物について
- 渡すタイミングについて
- 相場について
相手が気持ちよく受け取れるように、しっかりとおさえておきましょう。
引っ越し祝いに関する大事なマナー①:贈る品物について
引越し祝いの贈り物には、タブーとされているものがあります。
まずは火事、火を連想させるものです。
ライターや灰皿、キャンドル、暖房器具など実際に火を使うものや、赤いものもマナー違反です。
赤い花や赤いラッピングは紅白のイメージから、縁起がよさそうで華やかなので、つい選んでしまいがちですので注意が必要です。
さらに、鳥を連想させるものも引越し祝いの贈り物としてはふさわしくありません。
鳥をデザインしたインテリアや雑貨は避けるようにしましょう。
昔から鳥には「撃たれて落ちる」というイメージがあるため、新生活での繁栄を妨げるものとして縁起が悪いとされています。
相手に不快な思いをさせないように注意しましょう。
引っ越し祝いに関する大事なマナー②:渡すタイミングについて
お披露目会に参加する場合は、当日持参するか前日までに届くように手配します。
間に合わない場合は、当日は簡単なものを渡して後日改めて贈ることを伝えましょう。
当日渡すときは、比較を避けるために人目につかないところで渡すのが良いでしょう。
お披露目会に参加しない場合は、半月から1ヶ月以内に贈ります。
2ヶ月まではマナーの範囲内とされています。
引っ越しの直後ですと、忙しいため避けた方が良いです。
引っ越し祝いに関する大事なマナー③:相場について
引っ越し祝いで贈る相場はいくらくらいなのでしょうか。
相手が自分にとってどんな立場なのかによって変わってきます。
新築の引っ越し祝いでは、親や兄弟の場合は1万円~10万円、親戚の場合は3万円~5万円、友人や同僚の場合は5千円~1万円、上司や部下の場合は5千円~1万円です。
新居祝いでは、間柄に限らず3千円~1万円です。
相手の立場を考えて、引っ越し祝いを贈りましょう。
あまり高価なものを贈ってしまうと、お返しの心配をさせてしまいます。
相手も自分も気持ち良く贈りあえるような贈り物ができたら良いですね。
おすすめの暮らし本
暮らしに関する本を紹介します。
知っておいて損はないことがたくさん載っているので、気になったらぜひ、手に取ってみてください。
品物の包み方、のし袋の選び方、添え状・手紙の書き方などがおしゃれなイラスト付きで解説されています。
文だけだと分かりづらい!と思う方は必見です。
こちらの「暮らしの絵本」シリーズは他にも、話し方のマナーや食べ方のマナーを紹介しているものもあります。
引っ越し祝いのマナーのまとめ
引っ越しは人生においてそうないことです。
ましてや戸建てやマンション購入となると一大イベントとなることでしょう。
自分も相手も気持ち良い引っ越しとなるようにお祝いができたら良いですね。
日本の伝統的なしきたりを後世にも伝えられるようにしっかり覚えておきたいものです。