「養生してください」の意味
病気になった人をお見舞いするときの言葉はいくつかありますが、ビジネスシーンではどのような表現が適切かご存じでしょうか。
日常的によく使われる「お大事に」だけでは失礼にあたる場合も。
仕事関係の人には特に、失礼のないように表現に気を付けたいと思いますよね。
相手の体調を気遣うときに「養生してください」が使われることがあります。
「養生」は複数の意味を持つ言葉です。
まず一つ目は健康の増進を図るときに使われます。
「普段から酒やたばこを控えて養生している」というように健康のために節制をしているときに使ったり、「医者の不養生」ということわざに使われていたりもします。
二つ目は保護するという意味合いで建築現場などで使われています。
コンクリートやモルタルが硬化するように、様々な環境から保護することを「養生する」といいます。
また、引っ越し作業などの時に家具や家が汚れないように保護することも養生と言い、それに使用する布やテープを「養生シート」「養生テープ」といいます。
そして三つ目は体調を回復させるという意味で使われます。
今回はこちらの意味の「養生してください」について説明していきます。
「養生してください」の使い方5選
「養生してください」は様々な場面で使われます。
ここでは主な使い方を5つ紹介します。
- あいさつとして
- 相手を見舞う言葉として
- 敬語表現
- メールで使うとき
- 電話で使うとき
①:あいさつとして
まずはあいさつとしての使い方から説明します。
必ずしもお見舞いの時だけに使用する言葉ではなく、普段の会話の流れでも使用することがあります。
「暑い日が続きますが養生してください」のように、「体調に気を付けてくださいね」と相手を気にかけているときに使います。
②:相手を見舞う言葉として
体調のすぐれない人やけがをしている人に使う場合、頭に「どうぞ」を付けた方がより丁寧な印象になります。
例えば風邪の人には「ご養生してください」を「ゆっくり休んで早く風邪が治りますように」という意味合いで使います。
③:敬語表現
一見丁寧な言い回しに見えるものの、敬語ではないため相手によっては言い方を変えなくてはなりません。
例えば上司に「養生してください」というと失礼にあたることも。
「ご養生してください」や「養生なさってください」だと敬語になるので、目上の人に使う場合はこちらを使いましょう。
「養生なさってください」という言い方だと敬語になるので目上の人に使う場合も安心です。
④:メールで使うとき
仕事でメールを使用することが当たり前になっているので、メールで相手の病気や体調不良の連絡を受けたり、こちらからお見舞いのメールを送る機会も多いかと思います。
そんな時にも「養生してください」を上手く使って相手を気遣えるといいですね。
相手が上司や社外の人だと敬語に直す必要があります。
こちらはあとで説明します。
相手が同僚など気の置けない関係の場合は、普段話しているような文章で書いて構いませんが、文末に使用して締めの言葉とすると良いでしょう。
⑤:電話で使うとき
電話で通話している相手に対していたわりの言葉をかけることもありますよね。
例えば欠勤の連絡を受け取った場合や、本人や家族が急に入院することになってしまったときなどです。
相手の立場や状況によって使い方を考えながら「養生してください」と言ってみましょう。
また、電話をかけてきたのが本人ではなかった場合や、家族の病気についての連絡を受けた場合も、たとえ部下や後輩の家族だったとしても丁寧な表現を使いましょう。
「養生してください」は上司には使わない
「養生してください」が敬語ではないと説明しました。
それでは上司に対してはどのような使い方をすればよいのでしょうか。
「してください」という言い方は、指図するようなニュアンスで受け取られることもあるので、上司に使ってしまうと失礼な印象を与えてしまうことがあります。 この場合は「してください」を「なさってください」とすればOKです。
「養生してください」の類語5選
- お大事に
- 無理をされないでください
- ご自愛ください
- ご静養してください
- お労りください
「養生ください」の使い方について説明しましたが、「養生ください」には同じようなシチュエーションで使用できる類語がいくつかあります。
場面によって使い分けると便利なので覚えておくと良いですよ。
①:お大事に
様々なシチュエーションで使われる相手のことを気にかける言葉で、日頃から使う機会は多いかと思います。
同僚や後輩に使う場合はこのままでも良いのですが、上司や社外の人に向けて使うには不十分なので注意が必要です。
②: 無理をされないでください
「養生してください」をさらにより心配の気持ちを強く表現したのが「無理をされないでください」です。
「されないでください」というのは敬語表現なので、上司や先輩などにも使用できます。
病気やけがをしていなくても、相手のことを気にかけているという気持ちを伝えることができます。
心配している気持ちを伝えたいときに使ってみてください。
③:ご自愛ください
「自愛」は自分を大切にするという意味で、相手の体を労わるときに使用します 。
「体に気を付けてください」という言い回しと同じ意味で、メールや手紙でもよく締めのあいさつとして使用します。
相手が元気なときでも使われるのが特徴です。
また、この表現は病気やけがをしている人には使いません。
健康な人に対して、体調に気を付けてくださいと気に掛けるときに使用するようにしましょう。
④:ご静養してください
「ご自愛ください」とは逆に、実際に病気で臥せっている人に使うのが「ご静養してください」です。
ゆっくりと休んで体調を回復して欲しいときに使用します。
比較的病状が場合重い場合に使用される表現なので、使う相手や状況に注意が必要です。
⑤:お労りください
「ご自愛ください」と同じ意味を持つフレーズです。
「労わる」には気に掛ける、大切にするなどの意味があります。
敬語なので目上の人に対しても使うことができます。
特に、メールで使用すると気遣いがとても強く感じられる表現です。
「養生してください」に対する返事3選
自分自身が病気やけがで仕事を休むこともあるかもしれません。
「養生してください」と言われた時やメールや手紙をもらったときは、どのような返事をするのがよいのでしょうか。
- 同僚に対する返事
- 上司に対する返事
- 社外の人(クライアント
①:同僚に対する返事
同僚への返事の場合、普段話すようなくだけた口調なことが多いですよね。
その場合は、返事も同じように堅苦しい表現でなくても大丈夫です。
「早く復帰できるように養生します。
代理の業務をよろしくお願いします。」
というように、気遣ってくれたことと、自分が抜けた仕事のカバーをしてくれていることへの感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。
②:上司に対する返事
上司に対する返事の場合は敬語と謙譲語の使い方に注意しましょう。
「お休みをいただくことになりご迷惑をおかけします。
早く職場に復帰するためにも養生いたします。」
というように仕事を抜けることについても一言伝えておくと良いですね。
③:社外の人の場合
仕事上付き合いのある社外の人からのお見舞いにはより丁寧な返事が求められます。
失礼のないよう、敬語の使い方にも注意が必要です。
「お忙しい中ご連絡いただきありがとうございます。
ご心配をおかけして申し訳ありません。
一日も早く仕事に復帰できるよう精進いたします。
よろしくお願いいたします。」
さらに、自分が抜けたことで相手に迷惑をかけることのないように、引継ぎなどについてもしっかりと説明しておきましょう。
おすすめの敬語本
大人なら知っておきたいモノの言い方サクッとノート
文字が大きく、短い文章なので読みやすい敬語の本です。
大人なら知っておきたい言い回しが覚えやすく書いてあります。
社内、社外でのコミュニケーションを円滑に進めるために使える敬語が学べます。
あらゆるビジネスシーンで使いたいフレーズばかりなので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
使いこなしてビジネスシーンでも気遣いを
「養生してください」という言葉について使い方や類語について紹介しました。
シチュエーションや相手に合わせて使い分けてみてください。
せっかく相手を思いやっていても、言葉遣いが間違っていると悪い印象を与えてしまうこともあります。
今回紹介した使い方などを参考に、「養生してください」を使いこなしてビジネスシーンに役立ててみてください。