ワインの染み抜きはできるだけ早く
対応の早さが仕上がりの鍵となるワインの染み抜き。
色付きの赤ワインであれば、染みが付いてしまったときに染み抜きをしなければならない状態であることが見るからにわかります。
しかし、色の付いていない白ワインは分かりにくく、気が付かずにそのままになっていたということも。
2~3カ月経過すると赤ワイン同様に、白ワインの染みもポリフェノール成分が酸化して次第に黄色くなり、さらに半年から1年も経つと茶褐色へと変色して浮き上がります。
赤ワインの染みも白ワインの染みも、染み抜きを成功させるには、できるだけ早く対処することがポイントであると覚えておきましょう。
ワインの染み抜き前に素材を確認しよう
水溶性の染みであるワインの染みは、水洗いをすることである程度の染み抜きができます。
つまり、水洗いができればある程度まで落とせると言うことです。
水洗いをすることである程度までは落とせるということは、染み抜き作業に入る前に水洗いができる素材なのかどうかをチェックする必要があるということになります。
衣類や製品には洗濯表示のタグがついています。
そのタグを見ることで水洗いができる素材かどうかの確認可能です。
洗濯表示が洗濯機または手洗い可能となっていれば、水洗いできるということ。
色柄ものの場合は、色落ちするかどうかのテストも必要です。
染み抜きを始める前に、縁の折り返し部分の内側といった、目立たたない部分で色落ちテストをします。
ワインの染み抜きの基本方法
まずは、基本となるワインの染み抜きの方法を確認しましょう。
- 水での応急処置
- 漂白剤を塗り液体洗剤に浸け置き
- 石鹸でこする
- 白ワインを馴染ませる
- 染み取り専用剤を使う
方法①:水での応急処置
応急処置としては、水を使った対処方法があります。
必要なものは、水とハンカチやナプキンなど。
染みの下にナプキンなどの水分が吸い取れるものを敷いてから、水を吸わせたハンカチで染みが付いた部分をトントンと叩きます。
ワインの染みの広がりを抑えるために、染みの外側から内側へ向けて叩いていくことがポイントです。
下に敷いたナプキンは、時々ずらすか乾いた別の新しいナプキンに交換しながら作業を進めると、吸収力が良くワインの染みを吸い取りやすくなります。
この作業を染みが薄くなるまで続けますが、絶対にこすらないようにしましょう。
こすれば、染みの広がりや生地の傷みにつながります。
濡れた部分をしっかりと乾かせば終了です。
この方法はあくまでも応急処置のため、帰宅後は通常通り洗濯をしてください。
方法②:漂白剤を塗り液体洗剤に浸け置き
漂白剤、液体洗剤、浸け置き用の桶、タオルを準備します。
漂白剤の原液を染みが付いた部分に塗り、タオルで叩くように染みに馴染ませましょう。
桶に液体洗剤を溶かしたぬるま湯を作り、30分程浸け置きしまします。
浸け置きは長ければ長いほど良いという訳ではありません。
浸け置き後は通常通りに洗濯をして乾かせば終了です。
方法③:石鹸でこする
ワインの染みが付いている部分を水で濡らしてから、石鹸でこすり洗いをします。
染みが周りに広がらないように、染みが付いている部分のみをこするようにしましょう。
石鹸を使う場合は、こすり過ぎには注意が必要です。
動画では熱処理を専用の器具で行われていますが、家庭ではアイロンのスチームなどで代用できます。
生地から5センチほど離してスチームを当ててみましょう。
水ですすいで乾燥させて染み抜き終了です。
石鹸を使った方法は、染みが付いてすぐの場合に効果的な染み抜き方法と言えます。
方法④:白ワインを馴染ませる
白ワインとタオルを準備します。
赤ワインの染み部分に、白ワインを数滴垂らしましょう。
タオルで何度も染みの部分を根気強く叩き続けると、染みが抜けてきれいになります。
乾かせば終了です。
方法⑤:染み取り専用剤を使う
染み抜き専用の洗剤を使った方法です。
使い方は、それぞれの洗剤の使用方法を確認して指示に従いましょう。
携帯に便利な商品もあるため、外出先での対処にも使えます。
洗濯洗剤以外でワインの染み抜きに使えるもの
とっさに思いつくのは洗濯用の洗剤ですが、洗濯用の洗剤以外でワインの染み抜きに使えるアイテムを5つご紹介します。
- 塩
- オキシドール(過酸化水素水)
- 台所用洗剤
- 重曹(炭酸水素ナトリウム)
ワインの染み抜き対策洗剤①:塩
染み抜きをしたい部分に塩を盛ります。
ポイントは、パラパラと塩を振りかけるのではなく、染みが見えなくなるくらい盛ることです。
盛った塩が水分を吸収します。
ワインを吸収した塩は、洗い流すか掃除機を使って吸い取って取り除きましょう。
衣類にも使える方法ですが、カーペットやじゅうたんなど、水分を多く含みやすいものにも効果的な方法です。
ワインの染み抜き対策洗剤②:オキシドール(過酸化水素水)
ペーパータオルなどでワインの水分を拭き取ります。
オキシドールと台所用洗剤を混ぜたものを準備して浸け置きします。
ワインの染みが付いて時間が経ったものよりも、染みが付いてすぐの場合に効果的な染み抜き方法です。
ワインの染み抜き対策洗剤③:台所用洗剤
台所用洗剤には界面活性剤という成分が含まれているため、水だけでは落とせない油汚れを落とせます。
台所用洗剤は中性であるため、アルカリ性の洗剤に比べて手荒れの心配がありません。
また、洗濯用洗剤には染みに反応すると不自然な色落ちをしてしまう蛍光剤が含まれている場合がありますが、台所用洗剤には含まれていません。
手荒れの心配や不自然な色落ちの点からも安心して使用できます。
ワインの染み抜き対策洗剤④:重曹(炭酸水素ナトリウム)
料理や掃除にも使える万能アイテムとして注目を集める重曹(過酸化水素ナトリウム)は、ワインの染み抜きに有効です。
弱酸性である重曹をワインの染み部分にたっぷりとふりかけ、その上にお湯をゆっくりと注ぎます。
火傷には注意してください。
重曹とお湯が合わさることで化学反応を起こし、強アルカリ性に変化して汚れを落とすという仕組みです。
お湯を注ぐことで洗浄力はアップしますが、生地の色落ちやダメージが心配されるため、必ず目立たない場所でテストしましょう。
ワインの染み抜き方法【スーツ】
スーツは他の衣類に比べて購入した時の価格が高い場合も多く、染みを付けてショックを受ける方も多いでしょう。
スーツにワインの染みが付いた場合の染み抜き方法は、まずは水分をタオルやハンカチで出来る限り拭き取ることから始めます。
その後、中性洗剤の液を染み込ませたハンカチで染みの付いている部分を叩くようにしましょう。
中性洗剤を使てもなかなか染みが抜けない場合は、きれいなハンカチにアルコールを染み込ませて、再び染みの付いている部分を叩きます。
あくまでもこれは応急処置のため、高価なスーツは早めにクリーニング店に相談することをおすすめします。
ワインの染み抜き方法【シャツ】
染みの下に乾いたタオルを敷きましょう。
染み抜きをしたい部分に消毒用などで使うエタノールと液体洗剤を1:2の割合で混ぜたものを吹きかけます。
歯ブラシを使って、染みの部分と液体を馴染ませてから、40度のお湯を使って優しくもみ洗いをしましょう。
粉末と液体の酸素系漂白剤をブレンドします。
塩素系ではなく酸素系の漂白剤であることがポイントです。
漂白剤の容器の表示をチェックして、酸素系であることを確認してから使用しましょう。
ブレンドの分量は、粉末タイプが小さじ1、液体タイプが大さじ3です。
ブレンドした漂白剤を塗って約30分放置しておくと、その間に染みが分解されます。
仕上げは、シャツ全体を通常通り丸洗いして終了です。
ワインの染み抜き方法【セーター】
セーターの染みは、台所用洗剤や酸素系漂白剤を使って落としましょう。
ハンカチにどちらか一方の洗剤を染み込ませて、染みの部分を叩きます。
染み抜きをする部分の下には、乾いたタオルを敷き、そこに染みを叩き出すイメージで叩きましょう。
ニットは他の衣類と比べても傷みやすいので、慎重に作業をしてください。
洗濯表示を確認して、自宅で洗濯が可能であれば、表示タグに従って洗濯をしましょう。
ワインの染み抜き方法【着物】
着物に付いた赤ワインの染み抜きは、着物の専門業者であっても難しいと言うほど。
赤ワインの色素が沈着するため、着物の色抜きをした後に地色を整える必要があることが専門業者でさえ難しいと言う理由です。
着物にワインをこぼしてしまった場合は、まずワインの水分を乾いたタオルやティッシュで吸い取り、染みの広がりを最小限にとどめます。
ワインは水性の汚れですが、染み込んでしまうと落としにくく、できるだけ早く着物専門のクリーニング店に持ち込みましょう。
ワインの染み抜き方法【カーペット・じゅうたん】
まずはワインの水分をペーパータオルでできるだけ吸い取ります。
こするのではなく、押し当てるようにしてワインの水分を吸い取ることがポイントです。
こすってしまうと、ワインの染みが余計に広がってしまいます。
中性洗剤を入れた水にペーパータオルを浸し、ワインの染みがある部分を細かく叩くようにして湿らせます。
湿らす場合も水分を吸い取る時と同じようにこすらないようにしましょう。
乾いたペーパータオルを押し当てて、水分を吸い取り、再び湿らせたペーパータオルを使って湿らせます。
染みが消えるまでこの作業を何度も繰り返しましょう。
染み抜きができたらドライヤーを当てて毛並みを整えながら乾かせば終了です。
ワインの染み抜き方法【ソファー】
- カバーが外せるかチェックする
- 酸素系漂白剤を染み込ませる
- 水を染み込ませたタオルで拭き取る
- しっかりと乾かす
染み抜き手順①:カバーが外せるかチェックする
ワインの染みを付けてしまったソファーのカバーが外せるかをチェックしましょう。
もしカバーが外せるタイプであれば、外してから作業に取り掛かります。
カバーが外せない場合は、そのまま作業を進めましょう。
染み抜き手順②:酸素系漂白剤を染み込ませる
酸素系漂白剤をタオルなどの布に染み込ませ、ワインの染みが付いた部分に叩くようにして塗ります。
こするのではなく、叩くことが染みを広がらせないためのポイントです。
染み抜き手順③:水を染み込ませたタオルで拭き取る
タオルに水を染み込ませ、しっかりと絞り、酸素系漂白剤を染み込ませた部分を拭き取ります。
タオルを水洗いしながら何度か繰り返しましょう。
染み抜き手順④:しっかりと乾かす
濡れたままの状態や半乾きの状態は、カビや臭いの原因となります。
そのため、水分を含んだ部分をしっかりと乾燥させましょう。
早く乾燥させようとドライヤーなどを当てることは、熱で生地を傷ませる原因となります。
部屋の換気を良くしたり、ソファーを窓際に置いて日光を当てたりと乾燥させる工夫をしましょう。
ワインの染み抜き方法【壁紙】
セスキ炭酸ソーダを使った壁紙のワインの染み抜き方法をご紹介します。
- セスキ炭酸ソーダを準備
- 壁の染みにスプレーをする
- 濡れたタオルで拭き取る
- 乾いたタオルで拭き取る
染み抜き手順①:セスキ炭酸ソーダを準備
セスキ炭酸ソーダを準備します。
セスキ炭酸ソーダは、キッチンの掃除などに使っているという人も多いのではないでしょうか。
粉末の場合は、水に溶かしてセスキ炭酸ソーダ水を作り、スプレー容器に入れましょう。
壁の染み抜きの場合は、粉末タイプよりも液体タイプの方が便利です。
染み抜き手順②:壁の染みにスプレーをする
セスキ炭酸ソーダ水を染みの部分に直接吹きかけます。
液だれが予測できるため、液だれ部分をすぐに拭き取れるように、ティッシュなどを準備しておきましょう。
ワインの染みが付いて間もない場合は、スプレーを吹きかけたらすぐに次の作業へ進みます。
時間が経っている場合は、スプレーを吹きかけた状態でしばらく放置しましょう。
染み抜き手順③:濡れたタオルで拭き取る
タオルを水に浸し、固く絞ってから拭き取ります。
タオルを水洗いしながら、何度か繰り返しましょう。
染み抜き手順④:乾いたタオルで拭き取る
仕上げに乾いたタオルできれいに拭き取ります。
部屋は風通しを良くした状態にしておきましょう。
ここまでに紹介した方法は、ビニールクロスの壁の場合です。
漆喰の壁の場合は、漂白剤を約4倍に薄めた液を作りスプレー容器に入れます。
染みが付いている部分に吹きかけて、30程放置しましょう。
漂白剤を吹きかけた部分に水をスプレーします。
あとは自然乾燥させて終了です。
外出先でのワインの染み抜きに便利なアイテム
外出先で衣類にワインをこぼしてしまったというアクシデントの際に便利なアイテムです。
こちらの商品はペンタイプのため、外出時にかばんに入れて持ち歩いてもかさばりません。
ワインだけでなく、トマトソースやケチャップ、しょうゆ、カレー、コーヒー、ファンデーション、口紅など、その他の染み抜きにも対応できるため、常に化粧ポーチに入れておくこともおすすめです。
ペン先のチップは取り外して水洗いできるため、常に清潔な状態を保てることも嬉しいポイントです。
時間が経ったワインの染み抜き方法4選
ワインの染みは、対処が早ければ早いほどきれいに染み抜きができます。
しかし、染みを付けてすぐに対処ができない場合や気が付かずに時間が経ってしまうことも。
時間が経ってしまったワインの染み抜き方法を4つご紹介します。
- 酸素系漂白剤
- 焼酎
- 牛乳
- 染み抜き専用剤
時間が経ったワインの染み抜き方法①:酸素系漂白剤
ワインの染み抜きの基本方法でもご紹介した酸素系漂白剤。
酸素系漂白剤は時間が経ったワインの染み抜きにも有効です。
酸素系漂白剤に浸け置きする前に、中性洗剤で洗い良くすすいでおきます。
酸素系漂白剤を使用する場合は、50度程度に温めたお湯を使用してください。
1度の浸け置きで落ちていない場合は、もう一度試してみましょう。
時間が経ったワインの染み抜き方法②:焼酎
赤ワインの色素であるアントシアニンは、アルコールに溶けやすいという性質を利用した方法です。
アルコール度数が高い焼酎とハンカチやタオルを準備します。
染みの下にタオルを敷いて、焼酎を染み込ませたハンカチで染み抜きしたい部分を叩きましょう。
染みが薄くなってから、通常通り洗濯をしてください。
時間が経ったワインの染み抜き方法③:牛乳
温めた牛乳を準備して、その牛乳にワインの染みの部分に30分ほど浸け置きします。
ワインの色素が牛乳に含まれる脂肪分に吸収されることで染み抜きができるのです。
時間が経ったワインの染み抜き方法④:染み抜き専用剤
染み抜きの専用剤は、染み抜きに特化して作られているため、時間が経ったワインの染み抜きにも有効と言えます。
普段から自宅に1本染み抜き専用剤を備えておくといざという時に安心です。
おすすめの洗濯術本
自宅で洗濯できるものの染み抜きの方法が基本編と応用編に分けて紹介されている本です。
染みが付いた状態で落ちるまで長時間洗濯をするよりも、衣類に合った方法で染み抜きを施してから洗濯をした方が短時間の洗濯で済み衣類を痛めません。
130種類以上の染みの対する染み抜きの方法をクリーニングのプロが紹介している本です。
本書はオールカラーで写真も多く、プロの技が丁寧に分かりやすく紹介されています。
染み抜きの知識を持っていればさらにワインを楽しめる
時間が経ったワインの染み抜きの方法もありますが、少しでも簡単にそしてきれいに染み抜きをするには、ワインをこぼしてすぐの最初の対処が肝心です。
染み抜きをしてすぐはきれいに見えても、時間とともに黄ばみとなって現れることも。
自分で染み抜き後は念のためにクリーニングに出すことをおすすめします。
クリーニングに出す際には、ワインの染みがあったことや何を使って染み抜きをしたのかを店員に伝えましょう。
不意にワインをこぼして染みを付けてしまった場合の染み抜きに関する知識を持っておくことも、ワインを心から楽しむことにつながるのではないでしょうか。
いざという時の対処方法を知っておくことで、今よりももっとワインを楽しみましょう。