妊婦がうなぎを食べる場合は注意が必要!
妊婦がうなぎを食べるときには食べる量に注意が必要です。
その理由は、うなぎに含まれている「レチノール」という成分にあります。
レチノールはビタミンAを構成する成分のひとつ。
「ビタミンA」とひと言でいいますが、実はレチノール、レチナール、レチノイン酸という成分で構成されています。
その中でも、うなぎなどの魚や肉の動物性食品に含まれている成分はレチノール。
植物性食品に含まれる成分はβカロテンといいます。
レチノールやβカロテンは、体内でビタミンAに変換されます。
変換されたビタミンAは、粘膜を守る、骨・皮膚や目の健康を保つなど身体に大切な栄養素となるのです。
ですが、妊婦がビタミンAを摂りすぎたことによりおなかの赤ちゃんに影響が出る可能性があるのです。
妊婦がうなぎを控えたほうが良い理由2選
妊婦がうなぎを控えたほうが良いといわれるのはなぜなのでしょうか。
(参考文献:食品安全委員会 「お母さんになるあなたへ」)
- ビタミンAの過剰症になる
- 胎児の成長にリスクがおよぶ
妊婦がうなぎを控えたほうが良い理由①:ビタミンA過剰症になる
うなぎを食べすぎるとビタミンAの過剰摂取になりやすい危険があります。
腹痛・吐き気やめまいなどを起こしやすくなるのです。
植物性のβカロテンは、体内に不足している分だけ吸収され足りていたら排出されます。
一方、うなぎに含まれる動物性のレチノールは肝臓に蓄積されるので体外に排出されにくい性質があります。
レチノールは、妊婦が自分で食べる量を調整する必要があるのです。
妊婦がうなぎを控えたほうが良い理由②:胎児の成長にリスクがおよぶ
うなぎに含まれるレチノールは、妊娠初期に過剰に摂りすぎると胎児の成長に影響が出る可能性があります。
胎児の奇形や先天異常を起こすリスクが高まってしまうのです。
具体的な症状の例として、水頭症や口蓋裂などになりやすいといわれています。
とくに妊娠初期は、胎児の体や内臓の形成をし始める時期なので、影響がでやすいのですね。
妊娠3カ月以内の妊娠初期の妊婦や、妊娠を望んでいる女性は、うなぎを食べすぎないように注意が必要です。
妊婦が食べてもいいうなぎの摂取量の目安
実際、妊婦はうなぎをどれくらいなら食べてもいいのでしょうか。
妊娠中の3つの時期について解説していきます。
(参考文献:食品安全委員会 「ビタミンAの過剰摂取による影響」)
- 妊娠初期:うなぎ1/3匹くらい
- 妊娠中期:妊娠初期と同じうなぎ1/3くらい
- 妊娠後期:うなぎ1匹の半分くらい
妊娠初期:うなぎ1/3くらい
妊娠初期は、うなぎ1/3匹くらいが食べてもいい目安量です。
内閣府の食品安全委員会では、以下のように妊婦の年齢によってビタミンAの推奨量を変えています。
18~29歳は、妊娠初期~中期で650μgRAE。
30~49歳は、妊娠初期~中期で700μgRAE。
この目安を参考にした場合、妊婦がうなぎ一匹をすべて食べてしまうと過剰摂取ということになってしまいます。
ですが、知らずに1回うなぎを一匹食べてしまった程度では心配はいりません。
妊娠中期:妊娠初期と同じうなぎ1/3匹くらい
妊娠中期にうなぎを食べてもいい目安量は、うなぎ1/3匹くらいです。
ビタミンAの推奨量が妊娠初期と同じということになります。
妊娠初期でもお伝えしましたが、あくまでうなぎを毎日大量に食べている場合に胎児へのリスクが高まるということ。
妊娠初期や中期にうっかりうなぎを一匹食べてしまった、というくらいであれば心配する必要はありません。
とはいえ、大切な胎児です。
影響を考えると、妊娠中期もうなぎの摂取には注意したいですね。
妊娠後期:うなぎ1匹の半分くらい
妊娠後期はうなぎ1匹の半分くらいなら食べられます。
妊娠初期から中期に比べると、80μgRAEだけ多くビタミンAを摂取できるようになるからです。
具体的なビタミンAの推奨量は、18~29歳は730μgRAE。
30~49歳は780μgRAE。
妊娠後期は、胎児がほぼ新生児のように完成されて来る時期。
胎児の成長に影響を与えにくいと考えられています。
妊婦がうなぎを食べるとしたら、妊娠後期に食べると安心といえますね。
うなぎ以外に妊婦が食べないほうが良い食材4選
妊婦には、うなぎの他にも食べないほうが良いといわれる食材がいくつかあります。
- ナチュラルチーズ
- 生肉(生ハム、レアステーキ、ユッケなど)
- 刺身・魚卵
- 生卵
妊婦が食べないほうが良い食材①:ナチュラルチーズ
妊娠中には、食べないほうがいいチーズがあります。
それは、加熱をせずに製造される「ナチュラルチーズ」です。
加熱処理されていないため、リステリア菌という細菌が検出されることがあります。
その数はごく少ないともいわれますが、まれに食中毒を起こすことも。
妊婦から胎児へ感染し、流産の原因になったり生まれた新生児に影響がでたりする可能性があるのです。
ナチュラルチーズは、ピザなどしっかりと火を通す調理をしてから食べましょう。
妊婦が食べないほうが良い食材②:生肉(生ハム、レアステーキ、ユッケなど)
生肉も、リステリア菌による食中毒を発生する可能性のある食品です。
ナチュラルチーズと同じ理由で、妊婦は食べないほうがいいとされています。
リステリア菌はそれほど強い菌ではないため、感染しても重症化することはまれといわれます。
ですが、妊婦は免疫力が低下しているため、感染・重症化する恐れがあるのです。
食品を冷蔵庫で保存したり、塩漬け保存したりすれば、食中毒菌が増えないと思いがちです。
ですが、妊娠中に食べる際は必ず十分に加熱をしましょう。
妊婦が食べないほうが良い食材③:刺身・魚卵
刺身や魚卵には、妊婦が食べないほうが良い2つの理由があります。
食中毒の危険・水銀を摂取する危険です。
妊婦が食中毒になると、胎児の発育に影響が出ることがあります。
流産の危険が比較的少ないとされる安定期であっても、食中毒による流産がないとはいえないので注意が必要です。
また、自然界には「メチル水銀」という水銀があり、魚介類の中には含まれていることも。
妊婦が摂りすぎると、胎児が神経障害・発達障害を起こす恐れがあるともいわれます。
妊娠中には食べ過ぎないようにしたいですね。
妊婦が食べないほうが良い食材④:生卵●文字数:200文字が目安
生卵は「サルモネラ菌」による食中毒の可能性があるため妊婦は食べないほうが良いとされています。
サルモネラ菌は、卵の殻に付着していることがあるので卵を割ったときに中身に混ざってしまうのです。
卵はたんぱく質が豊富な食品でビタミンD とB12を含みます。
栄養がたくさん入っていて調理も簡単ですよね。
サルモネラ菌は、75度以上の温度で1分以上加熱すると死滅します。
ゆで卵などにして中まで十分に加熱して、妊婦はバランス良く栄養を摂りたいですね。
妊婦が積極的に食べたほうが良い食材4選
妊婦が食べたほうがいい食材にはなにがあるのでしょうか。
- 乳製品
- 緑黄色野菜
- きのこ類
- 鉄分を多く含む食品
妊婦が食べたほうが良い食材①: 乳製品
乳製品にはカルシウムがたくさん含まれています。
カルシウムはおなかの中にいる赤ちゃんの骨や歯、筋肉や心臓の形成に重要な栄養素。
牛乳やヨーグルトなどの乳製品は調理の必要がないので、手軽に栄養補給ができます。
カルシウムを摂取できるだけではなく、たんぱく質、ビタミン、ミネラルも含まれているので栄養価が高い食品です。
ヨーグルトには腸の調子を整えてくれる善玉菌が含まれるものもあるので、便秘になりがちな妊婦さんにおすすめです。
妊婦が食べたほうが良い食材②:緑黄色野菜
緑黄色野菜には、健康に過ごすために必要なビタミン類や葉酸、鉄分、食物繊維、カルシウムなどがたくさん含まれています。
特にモロヘイヤやほうれん草などには葉酸が豊富。
葉酸は、おなかの中の赤ちゃんの成長のためにとても重要な栄養素です。
野菜の食物繊維には便秘を防ぐ効果もあります。
妊婦だけではなく人の疲労やストレスに効果があり、がんの予防や老化を遅らせるともいわれている緑黄色野菜。
出産後の健康管理のためにも、積極的に摂っていきたいですね。
妊婦が食べたほうが良い食材③: きのこ類
きのこ類は低カロリーで食物繊維が多く含まれています。
そのため妊娠中の体重管理や、便秘の解消にとても役立つ食材です。
きのこ類はグアニル酸といううまみ成分があるので、薄い味付けでもおいしく食べることができます。
減塩が必要な妊婦さんにとってはぴったりですね。
さらにうれしいのは、カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンD2が豊富なこと。
ビタミンD2は、きのこを干すことで量が増える栄養素。
干ししいたけはうまみも強いので積極的に取り入れたいですね。
妊婦が食べたほうが良い食材④ :鉄分を多く含む食品
鉄分は妊娠中の体力の維持や貧血予防のために必要不可欠です。
鉄分が不足してしまうと赤ちゃんの発育不良、未熟児や早産になりやすいといわれます。
また、貧血の状態で出産を迎えると、陣痛が弱まったり出産時の出血量が増えたりする心配も。
妊娠中だけでなく、産後の母乳が出にくくなるともいわれます。
赤身肉やかつお・煮干しなどの主に肉や魚など動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」。
これを意識して摂取できるようにしましょう。
授乳中にうなぎを食べる場合も注意が必要
授乳中はうなぎを食べること自体に問題はありません。
注意が必要なのはうなぎの脂肪・タレの糖分の摂りすぎです。
脂質・糖分の多いものを食べ過ぎると、人によっては乳腺炎につながる可能性があります。
その分母乳がよく出るようになるのですが、摂りすぎには注意したいですね。
ただ、うなぎを食べると母乳が増える理由はもう一つあるといわれています。
ビタミンB1が豊富なことです。
ビタミンB1は、炭水化物からエネルギーに変換するために必要な栄養素。
吸収されやすいうなぎの動物性ビタミンB1は、摂取するとすぐに効果が期待できるといわれるほど母乳の生産を促してくれます。
夏場は体力が落ちたときにうなぎを食べると元気になると言われるくらい栄養価が高いです。
ですが、食べるうなぎの量はほどほどにはしておきたいですね。
妊婦におすすめの栄養管理本
日本に実在する、助産院が運営する人気カフェ。
そこで評判になっているメニューのレシピが掲載されています。
栄養バランスのよさはもちろん!
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レシピの内容は、妊娠中に悩む、 便秘・貧血などのさまざまな症状を防ぐおかず。
産後ケアだけでなく、育児でへとへとになってしまうママの元気と良質な母乳をつくるレシピなど。
妊婦さんはもちろん、退院後の育児に励むママたちにとっても心強い1冊です。
妊婦がうなぎを食べる時には摂取量を守って食べよう
妊婦はうなぎを食べても大丈夫です。
注意が必要なのはうなぎに含まれるレチノールの摂取量について知ること。
うなぎは食べ過ぎなければ問題ありません。
ですが、妊婦の体調を崩してしまったり胎児に影響がでたりするので摂取量を守ることは大切です。
うなぎなどを食べる量に気をつけて、妊婦の体調を守る努力をしていきたいですね。