黒いアボカドは食べられる
中身が見えない状態で売られている果実や野菜は、割ってみてはじめて鮮度がわかるものもありますよね。
アボカドも同様、カットするまで中身がどんな状態なのわからない果実です。
結論から言うと、アボカドを割った時に見える黒い点や黒い筋は腐っているわけではありません。
食べられる変色というと、リンゴや桃の褐変を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。
メカニズムとしては同じなので、食べても問題ない変色と言えますね。
また、黒い部分はもちろんカビでもありませんので、その点も安心です。
ではなぜ見た目にこのような変化が現れるのでしょうか?
それについては以下で詳しくご紹介してきます。
アボカドの黒い斑点や筋の原因はメラニン色素
アボカドの黒い点や筋は、一体何なのでしょう。
実は、その正体はメラニン色素。
アボカドには、たくさんのポリフェノール、フェノール酸化酵素という成分が含まれています。
これらの成分が含まれるために、体に良い果実として人気のあるアボカドなのですが、これらの成分が空気に触れてしまうことによって、黒いメラニン色素が生成されてしまいます。
この反応が、アボカドに黒い部分を作ってしまうメカニズムなのです。
アボカドが黒くなってしまう理由2選
アボカドの黒い変色のメカニズムはわかりましたが、通常皮でおおわれているアボカドが、黒くなってしまう直接の原因は何なのでしょうか。
実はお店に売られている時から、変色の危険は潜んでいるのです。
予想される原因を2つ程、ご紹介します。
- 強い衝撃を与える
- 皮に傷がある
アボカドが黒くなってしまう理由①強い衝撃を与える
アボカドの成分と空気の接触による反応で黒い部分ができてしまうことが、変色の原因です。
皮でおおわれた状態で空気に触れる状況になるとするならば、強い衝撃を与えられた場合。
スーパーでアボカドを選ぶ際に、強い力で握って確かめたり、地面に落としてしまったり…。
そんなことがあった場合、カットした際に中身が黒い!という状態になる可能性があります。
選別は大切ですが、商品は慎重に扱うように心がけるのが鉄則です。
アボカドが黒くなってしまう理由②皮に傷がある
空気との接触が原因となれば、割った時に黒い果実は、皮に傷やへこみ等、何らかの外傷があることが原因です。
購入する際に、皮に傷やへこみが無いかをしっかりと確認して選ぶようにしましょう。
腐ったアボカドの特徴3選
腐ったアボカドには、腐っていないものと比べて黒いだけではない決定的な違いがあります。
食べられるものと見分けるためにも、この違いはしっかりと覚えておきましょう。
- ガスのような悪臭がある
- カットすると中身全体が黒い、身が崩れている
- 白いカビが生えている
特徴①:ガスのような悪臭がある
アボカドは、腐敗が進むとガスのような悪臭を発します。
腐っているかどうか判断しかねる場合は、臭いをかいでみるのが判定のポイント。
少しでも変な臭いがしたら、食べずに処分することをおすすめしておきます。
特徴②:カットすると中身全体が黒い、身が崩れている
皮に覆われた状態ではわからないのが、中身の腐敗具合です。
カットした時に形を保っていられない場合や、中身が崩れて潰れてしまうような場合には、腐敗がかなり進んでしまっている場合がほとんどです。
カットするまでわからない為、ずっと冷蔵庫で眠っていた…なんてこともあるかもしれません。
残りの食材はこまめにチェックしておきたいものですね。
特徴③:白いカビが生えている
カットした時に白いもやもやとしたカビが生えていたら、一目瞭然ですね。
ここまで来てしまうと逆に見分けやすくなるため、迷うこともほぼない状態に。
腐敗の状態が気になる場合は、どんな場合でも一度カットしてみると判定できます。
腐敗したものを食べてしまうと、腹痛や下痢などの健康被害がでる可能性がある為、すぐ処分するようにしましょう。
アボカドが黒くならない保存方法
黒くなる原因が分かったところで、黒くならない保存方法もしっかりと把握しておきましょう。
3つ程を方法別でご紹介します。
- 保存温度に気を付ける
- 加熱して酵素を死滅させる
- 冷凍保存する
保存方法①:保存温度に気を付ける
アボカドは、その熟成度によって保存する最適な温度が変わってきます。
未熟なアボカドは室温保存が鉄則。
風通しの良い、気温が20度前後の環境で保存するのがベストです。
この時27度を超えないように注意しましょう。
逆に熟したアボカドはポリ袋に入れた状態で冷蔵保存するのが正しい保存の方法になります。
保存方法②:加熱して酵素を死滅させる
見た目、味の変化なく、そて簡単に変色を防ぐ方法のひとつに、電子レンジで加熱する方法があります。
原理としては、空気と触れて反応する酵素を熱で死滅させるというもので、一回加熱することでその後保存中変色することはありません。
工程はとっても簡単。
半分にカットした種付きのアボカドを、ラップ無しの状態で20秒、500Wのレンジで加熱するだけです。
サラダやサンドイッチなど、彩を楽しむメニューにはもってこいの方法ですよ。
保存方法③:冷凍保存する
すぐにアボカドを食べきれない場合や、カットしてしまったアボカドを保存しておくのに良い方法です。
下準備として、カットしたアボカドは、切り口に塩水やレモン汁を振っておきましょう。
アボカドはラップして密封後、保存袋に入れて冷凍します。
この方法で保存することによって2週間は鮮度を保つことができますよ。
黒いアボカドの賞味期限
通常の鮮度の物はもちろん、黒い部分のあるアボカドにも賞味期限が存在します。
安全はもちろん、なるべくおいしく食べるための期限は、しっかりと把握しておきましょう。
- 熟した状態では4~5日
- 黒い部分がある状態ではできるだけ早く
- 全体が黒い場合は処分
賞味期限①: 熟した状態では4~5日
皮がしっかりと着色した状態の完熟したアボカドは、冷蔵庫に保存した状態で4~5日はおいしく食べられます。
完熟状態になってから4~5日なので、知らず知らずのうちに完熟していた場合には、なるべく早く食べるようにしましょう。
賞味期限②: 黒い部分がある状態ではできるだけ早く
完熟状態を過ぎ、黒い部分がある状態のアボカドは、なるベく早く食べきるのが鉄則です。
一部だけ黒い場合は安全に食べることはできるものの、その部分の鮮度が落ちている状態なため、なるべく早く食べきるのがベター。
黒い部分を発見したら、その日のうちに食べきるように心がけましょう。
賞味期限③:全体が黒い場合は処分
アボカドの全体が黒い場合は、すぐさま処分しましょう。
腐敗の進んだアボカドの見分け方でもご紹介しましたが、中身全体が黒い物や、形を保てないほどに崩れてしまったものは腐敗が進んでいるため、食べるのは厳禁。
賞味期限以前の問題なので、早めの処分をおすすめします。
アボカドの黒い筋の取り方
アボカドの一部に黒い筋が出た場合、食べることはできますが筋っぽく感じたりと、おいしさは損なわれています。
そんな状態の時は、筋を取ってから食べるのがおすすめ。
ここではその筋の取り方についてご紹介していきます。
- カットして皮をむく
- レンジで加熱
- 裏ごしをする
- 身と筋を分ける
アボカドの黒い筋の取り方①:カットして皮をむく
まずは半分にカットし、皮をむきます。
適度な大きさにカットしておくと後の作業がしやすくなります。
アボカドの黒い筋の取り方②:レンジで加熱
黒くなりにくい保存方法でご紹介した通りに加熱していきます。
加熱することで酵素が死滅するため、今後の作業でも変色せず、キレイなまま調理ができます。
アボカドの黒い筋の取り方③:裏ごしをする
丁寧に裏ごししていきます。
こうすることで、柔らかい実はすりつぶされてペーストに、筋は網の上に濾されずに残るので簡単に除去できます。
アボカドの黒い筋の取り方④:身と筋を分ける
裏ごしが終わったら、筋は処分しペーストを調理用に使っていきます。
本来取り除くのが難しい筋も、裏ごしをすることで身ときれいに分けることが可能になります。
黒いアボカドにおすすめレシピ5選
黒くなったアボカドも、裏ごしして使えば繊維が除去されるため、味、見た目ともに良し。
そんな裏ごしメニューから、おすすめレシピを5つ程ピックアップ。
裏ごしさえしてしまえば、調理工程も簡単なのでおすすめです。
季節を問わずおいしく食べられるレシピなので、重宝しますよ。
- ディップソース
- アボカドのスープ
- サンドイッチ用ペースト
- アボカド豆腐
- アボカドパンナコッタ
レシピ①: ディップソース
クラッカーやパンにおすすめのディップソースです。
裏ごししたアボカドに塩、好みのスパイスで味付けすれば出来上がり。
とっても簡単で美味しく、裏ごしをするので筋も気になりません。
ちょっぴりスパイシーな味付けにしたり、にんにくを入れて味のアクセントにしてもおいしいですよ。
レシピ②:アボカドのスープ
アボカドは裏ごししておきます。
好みのとろみになるように牛乳を注ぎ、コンソメを加えて火にかけ温めます。
最後に塩コショウで味を調えたら出来上がりです。
温めても、冷たくして冷製スープにしてもおいしいレシピ。
新鮮なアボカドなら、裏ごし工程をミキサーで簡単に作ることができます。
レシピ③:サンドイッチ用ペースト
裏ごししたアボカドに、マヨネーズ、レモン汁、エクストラバージンオリーブオイル、塩コショウを加え、好みの味付けに。
エビやベーコン、卵、トマトなど、お好みの具材と一緒にサンドしていただきます。
調味料はすべてお好み量なので、味見しながら好みの味に仕上げていきましょう。
普通の食パンでも、コッペパンでもおいしいペーストです。
レシピ④:アボカド豆腐
材料はアボカド半分に対して豆乳100g、白だし小さじ半分、ゼラチン2g、ゼラチン用に豆乳大さじ1、豆乳ソース用に豆乳小さじ2、白だし小さじ1、ゆでアスパラガス1本を用意。
ゼラチンにゼラチン用豆乳を入れてふやかし、アボカドは裏ごししておきます。
裏ごししたアボカドに豆乳を3回に分けて加えて混ぜ、白だしも入れて混ぜます。
ふやかしたゼラチンをレンジで溶かし、アボカドに投入。
容器に入れて冷やし固めたら、ソース材料を混ぜて作ったソースを流しいれ、アスパラを飾って出来上がり。
アボカド豆腐の作り方
レシピ⑤:アボカドパンナコッタ
材料はアボカド1個で2人分、生クリーム150cc、牛乳100cc、砂糖25g、コンデンスミルク大さじ半分、ゼラチン4,5グラムに水大さじ1と半分でふやかしたものを用意します。
裏ごししたアボカド、コンデンスミルク、生クリーム50ccを混ぜ、鍋で残りの生クリーム、牛乳、砂糖を沸騰直前まであたためたものもさらに加えて混ぜます。
レンジでゼラチンを溶かしたら、アボカドのボウルに加えてよく混ぜ、粗熱が取れたら容器に注いで冷やし固めましょう。
お好みでコンデンスミルクをかけたら出来上がりです。
パンナコッタの作り方
美味しいアボカドの見分け方3選
腐ったアボカドに見分け方があるように、おいしいアボカドにも見分け方があります。
覚えておくと選ぶときに迷わず、ポイントを絞って選別でき便利です。
鮮度の良いものを選ぶことで保存期間も伸び、調理しやすくなるので、選ぶときのポイントはしっかりと把握しておきましょう。
- ヘタ部分がしっかりしている
- 皮に艶があり、ある程度固さがある
- 皮の色をチェック
見分け方①:ヘタ部分がしっかりしている
アボカドを持った時に触れるヘタ部分に、身がしっかりと詰まっているもの、ヘタと皮部分に隙間ないものを選ぶのがベター。
この部分に隙間があってフカフカとしていたり、柔らかいものは鮮度が悪い果実の場合があります。
皮と身の間に空気が入るということは、中身が酸化し、黒ずんでいる可能性があります。
身の部分に筋が入る原因にもなりうるので、ヘタ部分の状態は必ずチェックしておきましょう。
見分け方②:皮に艶があり、ある程度固さがある
見るからに艶があり皮のしっかりしているものは、鮮度が良くおいしいアボカドです。
アボカドは中身が見えない果実なだけに、皮の状態が中身の鮮度のバロメーターになります。
皮の状態が良いものと、形が丸くいびつでないものを選ぶと良いでしょう。
見分け方③:皮の色をチェック
買ってから冷蔵庫でどの程度保存するのか、その点もアボカド選びには重要なポイントになります。
買ってからすぐ使うのであれば、皮の色が濃く、持った時にずっしりと重いものを、しばらく保存する予定があるなら、皮は緑が鮮やかで、形の良い物を選ぶのが良し。
皮の色の変化でどの程度熟しているかを把握するのがポイントです。
良く熟したものは、チョコレートのような艶のある茶色に近しい色になります。
おすすめのレシピ本
レシピはわかりやすい内容で、さらに可愛くいと楽しいがてんこ盛り。
読んでいるだけでもわくわくするような、思わず作りたくなるレシピが盛りだくさんです。
見ているだけでも幸せになれるような楽しい一冊で、日々の料理をより楽しんでみてはいかがでしょうか。
黒いアボカド使いこなそう
見た目が黒い、それだけで処分してしまうにはもったいない、そのことに気付けただけでも大きな進歩。
さらには、黒くなるメカニズム、黒くなりにくい保存法、おいしいアボカドの見分け方等…黒いアボカドをきっかけに、たくさんの知識が付いたことでしょう。
黒いアボカドも、黒い部分の正体や使い方を知るだけで、使いこなせる無駄のない食べ物になります。
栄養価の高いおアボカドですから、おいしさと栄養を損なわないよう、無駄なく使いこなしていきたいものですね。