出刃包丁とは?
出刃包丁は和包丁の一つで、主に魚をさばくことを目的とした包丁です。
魚の下ごしらえ全般に使うことができます。
ウロコを取る作業から、頭を落とす、内臓を取り出す、身を卸すという作業に重宝します。
刃に厚みがあるため包丁全体が重くなり、魚の骨をたたき切るといった力のいる作業もしやすくなっています。
種類は豊富にあり、用途によって細かく分かれています。
主なものは刃渡り15 cm以上の本出刃包丁、本出刃包丁より小ぶりの中出刃包丁、さらに小ぶりの小出刃包丁、刃が薄めで細かい作業や小さな魚に向いている鯵切り包丁などがあります。
出刃包丁の選び方
出刃包丁を選ぶ際に重視すべきポイントをご紹介します。
- 用途で選ぶ
- 材質で選ぶ
- 柄の素材で選ぶ
- 価格重視で選ぶ
では、4つのポイントそれぞれについて解説します。
出刃包丁の選び方①:用途で選ぶ
家庭で持っておくのにおすすめな出刃包丁は、中出刃包丁です。
出刃包丁の中でも、大きさがちょうどよく、誰でも扱いやすいのがおすすめポイントです。
家庭だと大きな魚を捌くという機会はなかなかないので、大きな本出刃包丁は登場の機会は少ないでしょう。
まずは中出刃包丁を1本持っておけば家庭料理では十分ですので、おすすめです。
三枚おろしやウロコを落とすときに使いやすい包丁です。
あじ、さんま、いわしといったの小さめな魚を料理する機会が多かったり、細かい作業がしやすい包丁が欲しければ、鯵切り包丁もおすすめです。
どのような魚の調理によく使うのか考えながら、選んでみて下さいね。
出刃包丁の選び方②:材質で選ぶ
最初に購入する出刃包丁の材質としておすすめなのが、鋼の「白紙2号」です。
材質は、切れ味、刃の欠けにくさ、切れ味の持続性、研ぎやすさを左右する重要なポイントです。
そのバランスが最も取れている鋼である、「白紙2号」が初心者にはおすすめです。
鋼は、炭素の量と添加されている成分の種類によって規格が分かれています。
具体的には、「白紙」「黄紙」「青紙」の3種類の規格が存在します。
それぞれ、しなやかさや硬さ、切れ味の持続性などの特徴が異なります。
3種類の中でもそれぞれ、さらに1号、2号という風に分かれています。
白紙2号は中間の規格なので、バランスが良く、おすすめです。
青紙はクロムとタングステンといった元素も含まれており、プロ仕様の出刃包丁に使われることが多いです。
切れ味は長く続きますが、若干研ぎにくいのが難点です。
ステンレス製の出刃包丁もありますが、研ぎやすさや持続性の点からみると鋼のほうがおすすめです。
「鋼だとすぐに錆びてしまいそう」と心配になるかもしれませんが、水にぬらしたまま放っておかないように注意して使えばステンレスよりも長持ちします。
出刃包丁はどうしても研ぐというお手入れが必要になってくるので、研ぎやすく、切れ味などのバランスがとれているかどうかを重視して選んでください。
出刃包丁の選び方③:柄の素材で選ぶ
出刃包丁の柄の材質は、握りやすさに大きく影響する重要なポイントです。
高級なものとしては、八角水牛柄や黒檀柄などもあり、高級感を出したい人にはおすすめです。
初級者向けとして丈夫なプラスチック製や、刃の部分も柄もステンレスでできているオールステンレスの出刃包丁もあります。
柄は後から付け替えることのできる出刃包丁もありますので、握りやすさにもこだわりたい人におすすめです。
自分の手にフィットするものを見つけてみて下さい。
出刃包丁の選び方④:価格重視で選ぶ
出刃包丁の購入を考えている方にとって、やはりお値段も気になるところ。
出刃包丁の価格帯は幅広く、数千円で買えるものもあれば、プロ仕様になると数十万円するものもあります。
材質、切れ味、お手入れのしやすさ、値段など、どのポイントを最重視するか決めて納得のいく出刃包丁を探しましょう。
次におすすめのブランド、商品10選をご紹介するので参考にしてみてくださいね。
出刃包丁のおすすめブランド・商品10選
おすすめの出刃包丁①:貝印 関孫六シリーズ
創業100年以上の歴史を持ち、国内での包丁トップシェアを占める老舗メーカーの貝印。
ラインナップが非常に豊富なため、自分に合った1本を見つけやすい点がおすすめです。
出刃包丁一つとっても20種類以上が取り揃えられており目移りしてしまいそうですね。
左利き用の出刃包丁の種類も豊富でおすすめです。
関孫六の出刃包丁で特におすすめなのが、本鋼の出刃包丁。
鋼と軟鉄を合わせた伝統的な製法を守って作られているのが魅力的。
切れ味よし、鋭さよし、そして耐久力も申し分ないです。
見た目もシンプルで高級感あふれたデザインですので、おすすめです。
おすすめの出刃包丁②:藤寅工業 藤次郎(TOJIRO)
日本の有名な刃物産地、新潟県燕三条の職人たちが作る、藤寅工業 藤次郎の出刃包丁。
日本で数少なくなってしまった一貫製造の包丁メーカーであり、海外の方からも人気がある、おすすめのブランドです。
プロの料理人も愛用する切れ味で、ストレスなく魚調理ができます。
「刃物の命はよいハガネから」をモットーに、選び抜かれたこだわりの鋼を使用した出刃包丁がおすすめ。
伝統的な技術だけを守っていくのではなく、古くからのものと現代技術の融合を目指した包丁づくりに挑戦しています。
和包丁の柄の握りを再現した、左右非対称のステンレス柄の商品もあり、そちらもおすすめです。
おすすめの出刃包丁③:下村工業 ヴェルダンシリーズ
三条刃物鍛冶として140年以上の歴史を持つ下村工業。
伝統的な出刃包丁の技術の高さもさることながら、現代のニーズに合わせ新しい発想も取り入れた出刃包丁が人気を博しています。
切れ味だけでなく、使いやすさも重視して作られているのがおすすめポイントです。
オールステンレス製が魅力のヴェルダンシリーズの出刃包丁は使い勝手が良くおすすめです。
柄と刃が一体になっているので、丸ごと熱湯消毒もできてしまいます。
魚を扱う包丁は衛生面が気になるところですので、丸洗いできる点がおすすめできます。
おすすめの出刃包丁④:アーネスト 特撰職人工房 出刃包丁
アーネストはキッチン雑貨や洗濯用品、美容健康グッズなどの日用品を取り扱っている会社です。
アイディアの込められた、便利グッズが多いのが特徴です。
アーネストの出刃包丁はお値段の手軽さがおすすめポイント。
貝印 関孫六 本鋼 出刃包丁だと、刃渡り165mmのもので1万円近くしますが、アーネストの出刃包丁はAmazonで2000円で手に入れることが出来ます。
刃がステンレス製ですので、錆びを気にせずに使うことが出来ます。
まずは出刃包丁の使い心地を試してみたい、たまに使いたいだけ、といった方にはおすすめです。
おすすめの出刃包丁⑤:グローバル(GROBAL) グローバル・イスト
洋食器メーカーとして創業した吉田金属工業株式会社。
現在はステンレス包丁のメーカーとしても活躍しています。
手術用に使われるメスと同じ素材のステンレス鋼を使用しています。
刃と柄が一続きになったオールステンレス製で、衛生面も安心できるのでおすすめです。
さらには柄が普通の出刃包丁よりも太めに設計されているため、握りやすさも魅力です。
ドット加工がなされていて、滑りにくい工夫もされています。
左利き用も販売されています。
おすすめの出刃包丁⑥:富士カトラリー 成平作 ステンレス鋼和包丁 左利き用
成平作シリーズは、富士カトラリーを代表する包丁です。
中国で生産され、刃付けは先ほどもご紹介した藤次郎株式会社で行われています。
ご紹介している包丁は、さびにくさが魅力のステンレス鋼の出刃包丁。
左利き用モデルも準備されています。
触り心地の良い、天然木を使用した柄が高級感な雰囲気を漂わせており、おすすめです。
刃と柄をつなぐ部分にはポリプロピレン樹脂が使用されているため、雑菌の繁殖を防いでくれる点がおすすめです。
品質の良さと、価格のバランスが取れている点もおすすめポイントです。
おすすめの出刃包丁⑦:関兼常 紫檀柄11層ダマスカス鋼包丁 出刃
関兼常の出刃包丁は、刃に美しく浮かび上がって見えるダマスカス模様がおすすめポイント。
柄には高級木材の紫檀(したん)を使用しており、つやっとしていてまるで工芸品かのような美しさを醸し出しています。
見た目の美しさもさることながら、切れ味や耐久性もプロが使うほどの良さなので、見た目と実用を兼ね備えています。
刃は白鋼を主な素材とし、軟鉄とクロムモリブデン積層鋼も使われています。
刃渡りは16.5㎝と長めのため、大きめの魚をよく捌く方にはおすすめの出刃包丁です。
切れ味だけでなく、キッチン周りをおしゃれにしたい、見た目から気分を上げていきたい方にもおすすめです。
おすすめの出刃包丁⑧:関兼次 アルミハンドル和包丁
刀鍛冶700年の伝統を継いでいる関兼次株式会社が手掛けている出刃包丁。
切れ味はもちろん抜群です。
特徴的なのが他にあまり見ない、柄がアルミニウム製になっているこちらの商品。
七角形にデザインされているので、手にしっくり馴染むため、握りやすいさにこだわる人におすすめです。
さびやすい、腐りやすい、抜けやすいという和包丁の欠点を改善しつつも、見た目は和包丁の良さを引き継いでいます。
刃はステンレス製ですので、普段はあまり出刃包丁を使わない方でもお手入れがしやすいのもおすすめしたいポイントですね。
おすすめの出刃包丁⑨:片岡製作所 ブライト M11プロ 和風出刃M1118
スタイリッシュなデザインの包丁を手掛けている片岡製作所。
ブライトM11プロシリーズは、柄の部分がステンレス鋼でできています。
柄の内部は空洞で、軽量化がされています。
長時間握っていても疲れにくく設計されているところがおすすめです。
刃の部分と柄の部分が隙間のない一体構造になっているので、衛生面でも安心できる出刃包丁です。
高圧・高温殺菌にも耐えられます。
また、刃の部分は1050℃で焼き入れをした後に、-73℃以下に冷却する特別な処理をすることにより、切れ味を高めています。
実用とデザイン性の高さから、自慢の1本になりそうですね。
おすすめの出刃包丁⑩:堺味正作 本霞青鋼出刃包丁
こちらは良い切れ味の長く続く本霞青鋼を使用した出刃包丁。
プロの料理人やすし職人も使用する、上級者向けの包丁です。
「霞」とは研いだ時に鋼が鏡のように光るのではなく、白くかすんだように見える状態のことを指す言葉です。
「霞」と「本霞」がありますが、「本霞」のほうが手の込んだ研ぎがされています。
1本1本手作業で製造されています。
お値段は2万円以上とお高めではありますが、魚を大量にさばく機会があるのであればおすすめの1本です。
柄は水牛の角を使用し、八角形になっているので、長く握っていても疲れにくいです。
出刃包丁の研ぎ方
出刃包丁は使っているうちに必ず切れ味が落ちてきてしまうもの。
1~数か月に1度は自分で研ぎ、1年に1度はプロの研ぎ職人に研いでもらうのがおすすめです。
でも意外と包丁の正しい研ぎ方が分からない人も多いのではないでしょうか。
自分で研ぐ方法を、4つの手順に分けてご説明しますので参考にしてみてください。
- 砥石を用意する
- 刃の表を研ぐ
- 刃の裏を研ぐ
- かえりを取る
出刃包丁の研ぎ方①:砥石を用意する
包丁を研ぐために、まずは砥石を用意しましょう。
電動シャープナーも販売されていますが、おすすめは砥石です。
シャープナーは、安易に選ぶとせっかくの包丁の刃を傷めてしまう可能性があります。
どうしても時間がない、自分で研ぐのは不安だ、という人にはおすすめです。
砥石で研ぐのは難しく思えるかもしれませんが、慣れてしまえば案外簡単にできてしまいますよ。
砥石は、荒砥ぎ、中砥ぎ、仕上げ用と段階的に分かれています。
一般家庭の料理では、中砥ぎと仕上げ用を準備するのがおすすめです。
目の粗さは「粒度」で表されており、中砥石が#1000~2000、仕上げ砥石が#3000~6000です。
中砥石と仕上げ砥石が一体になった便利な砥石もあり、使いやすいくておすすめです。
出刃包丁の研ぎ方②:刃の表を研ぐ
持っている出刃包丁は両面に刃のある両刃包丁か、片面のみの片刃包丁かを確認しましょう。
出刃包丁は片刃包丁が主流ですので、今回は片刃包丁のおすすめの研ぎ方をご紹介します。
まずは刃のついた面から研いでいきます。
砥石は、あらかじめ水に10~15分程度浸漬しておきます。
安定した場所にいらない布などを敷き、中砥石を置きます。
砥石用の台座があればそちらを使用するのがおすすめです。
包丁の刃を、砥石に対して約45度になるように置き、刃の背を砥石から15度程度浮かせます。
包丁を握っている手と反対の中指と薬指を刃の部分に置きます。
包丁を砥石に沿って前後に動かし、研いでいきましょう。
中指と薬指を置く位置を刃先、刃の真ん中、刃の根本に動かしていき、それぞれ20回ずつを目安に研ぎましょう。
前後に動かすのが難しければ、手前に引いてくるときは刃を完全に浮かせてしまっても構いません。
出刃包丁の研ぎ方③:刃の裏を研ぐ
次に、包丁の刃の裏側を研ぎます。
片刃包丁は裏面に刃が付いていませんので、かえりを落とす程度に軽く研いでいきます。
かえりとは、包丁を研いだ時に出る削りカスのことです。
うまく研げているかどうかは、かえりが出ているかどうかで判断することが出来ます。
刃の背から刃に向かって指でなぞってみて確認するのがおすすめで、ざらっとした感触があればしっかり研げている証拠です。
この時、指を切らないように十分に気を付けて下さいね。
刃を砥石に対して直角に置き、刃と砥石の間に隙間が出来ないようにぴったりと密着させておきます。
表面の時と同じように中指と薬指で刃を押さえて、刃先から刃の根元にかけて研いでいきましょう。
出刃包丁の研ぎ方④:かえりを取る
いよいよ仕上げの段階です。
かえりを取っていきましょう。
まずは包丁を水洗いし、中砥石の粒子をしっかり落としましょう。
仕上げ砥石の効果を十分に発揮するために必要な工程です。
洗い終わったら、水に浸漬した仕上げ砥石で軽く全体を研いでください。
数分なぞる程度で大丈夫です。
終了したら、丸めた新聞紙や厚紙、あれば木の板を垂直に切り、細かなかえりを落としていくのがおすすめです。
これで、研ぐ作業は完了です。
You Tubeなどで研ぎ方の動画を見ることも出来ますので、研ぎ方をマスターして大事な出刃包丁を長持ちさせてくださいね。
おすすめの出刃包丁を紹介している本
世界に誇れる日本の包丁。
包丁ももちろんのこと、砥石の世界も実はとても奥が深いです。
こちらの本は、そんな和包丁の世界の魅力が詰まったおすすめの1冊です。
堺の刃物鍛冶による包丁の製作工程や、京都の天然砥石採掘現場の様子が紹介されています。
包丁や砥石の作り方までなかなか普段は気にしないですが、職人の世界を覗き見ることができて、よりマイ包丁への愛着が湧きます。
いろんな種類の和包丁を揃えてみたくなってしまうこと間違いなしです。
自分のお気に入りの出刃包丁を見つけて楽しく料理しよう!
ここまで、出刃包丁の特徴やおすすめのブランド、お手入れ方法についてご紹介してきました。
本格的な出刃包丁を手にすれば、料理へのやる気も一段とアップすること間違いなしです。
是非参考にして、お気に入りの出刃包丁を見つけてみて下さいね。