張り子とは?
張り子、と聞くと旅行先で見かける民芸品を連想する方が多いのではないでしょうか。
そもそも張り子とは、木や竹などで組まれた枠や粘土で作った型に紙などを貼りつけたものです。
よく知られているものでは初宮参りに使われる犬張子や、会津張り子の赤べこなどの人形があり、有名な青森のねぶた祭りで使われている山車も張り子で作られています。
日本人にとっては、馴染みの深いものと言えるでしょう。
そんな張り子ですが、身近なものを使えば意外とかんたんに作ることができます。
ぜひ一度、自分だけのオリジナル張り子を作ってみてください。
張り子作りに必要な材料
まず、張り子作りに必要な材料からご紹介いたしましょう。
- 紙粘土
- のり(木工用ボンドでも)
- 新聞紙や習字用の紙
- 筆やハケ
- 絵の具や油性ペン
- 胡粉(ごふん)
基本的な材料はこちらになります。
張り子作りに必要な材料①:紙粘土
まず張り子を作るためには、紙を貼りつけていく土台が必要になります。
しかし、素人が木や竹などで枠を作るのは至難の技。
紙粘土なら初心者やお子さんなどでも扱いやすいですし、かんたんに好みの形にできます。
100円ショップで買える手軽さも魅力的ですね。
張り子作りに必要な材料②:のり
張り子は紙を貼りつけて作るので、のりは必須アイテムです。
使いやすくて手に入りやすい点では、工作用のでんぷんのりが優秀でしょう。
もし、張り子に細かなパーツをくっつけたいのであれば、木工用ボンドがおすすめ。
水で薄めるとのりとして使うこともできますので、作りたい張り子に合わせて準備してみてください。
張り子作りに必要な材料③:新聞紙や習字用の紙
張り子は紙だけできていると言っても過言ではない工芸品なので、一番重要な材料と言えるでしょう。
最も扱いやすく手に入りやすい素材が、新聞紙と習字用の紙。
コピー用紙や折り紙などでも作れますが、乾燥後にシワになりやすいという欠点があります。
新聞紙は張り子の補強に優れた素材ですし、白くて薄手な習字用の紙は張り子の仕上げにもってこいな材料です。
張り子作りに必要な材料④:筆やハケ
張り子の型に紙を貼りつける時や、仕上げのペイントで使う筆とハケ。
小さな張り子を作る時に筆を使うと細かな作業が楽になりますし、大きい張り子を作る時はハケがあると作業がはかどります。
筆もハケも100円ショップで手に入るので、用途に応じてそろえてください。
張り子作りに必要な材料⑤:絵の具や油性ペン
仕上げに絵の具や油性ペンを使ってペイントします。
水彩絵の具でも良いですが、おすすめはポスターカラーやアクリル絵の具。
ポスターカラーやアクリル絵の具を使うと、ペイントした後の仕上がりがとてもキレイになります。
張り子の顔に目など表情を入れたい時には、油性ペンがあると便利ですよ。
張り子作りに必要な材料⑥:胡粉(ごふん)
胡粉(ごふん)とは、貝殻を焼いて細かく砕いた白い顔料のこと。
民芸品の張り子の製作に使われている、いわばプロご用達の材料です。
なくても水で溶かした紙粘土で代用できるので絶対に必要ではありませんが、あると張り子の仕上がりが一段グレードアップします。
初心者にも扱いやすい「胡粉ジェッソ」という下地剤が市販されていますので、こだわりたい方は準備しておくと良いかもしれません。
初めて張り子を作るなら置物やお面がおすすめ
張り子は紙をのりや木工用ボンドで何層も重ねて貼りつけるだけの、作り方がとてもシンプルなものです。
小さなお子さんからご年配の方まで誰でも始めやすいですが、張り子で何を作るか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
おすすめは、お面や招き猫などの小物の張り子。
どちらもかんたんに作り始められるので、最初の張り子作りにぴったりです。
少しですが張り子の作り方をご紹介いたしましょう。
張り子のお面の作り方
まずは、張り子のお面の作り方から。
- 紙粘土で土台となる型を作る
- お面の表面にサラダ油を塗る
- 水で薄めたのりや木工用ボンドで紙を貼りつける
- しっかりと乾燥させる
- 乾いたら型から外し、形を整える
- お面に水に溶かした紙粘土や胡粉を塗る
- 再度乾燥させる
- 絵の具などでペイントする
おおまかな作業は以上になります。
ひとつずつ見ていきましょう。
張り子のお面の作り方①:紙粘土で土台となる型を作る
まずは型作りから。
ここで作りたいお面の大きさや形を決めます。
この作業で顔の土台が出来上がるので、どんなお面を作りたいかをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
型ができたら濡らした手で表面を整えると、凹凸がなくなってなめらかになります。
張り子のお面の作り方②:お面の表面にサラダ油を塗る
土台の紙粘土に直接貼りつけ始めると、外す時に失敗する可能性が。
できあがった型にサラダ油をうすく塗ることで、はがしやすくなりますよ。
また、サラダ油の代わりに型の表面をラップで包んでも同じような効果が得られるので、お好みで選んでみてください。
張り子のお面の作り方③:水で薄めたのりや木工用ボンドで紙を貼りつける
型に紙を貼りつけていきます。
おすすめの作り方は、習字用の紙→新聞紙→習字用の紙の順。
最初に習字用の紙を貼ることで顔に当たる部分を保護できますし、新聞紙の独特の匂いも抑えられます。
次に新聞紙を貼り付けることでお面が補強され、その上からまた習字の紙を重ねて貼ることで仕上がりが美しくなります。
貼りつけるたびにこまめに乾燥させると、更に仕上がりがキレイになりますよ。
張り子のお面の作り方④:しっかりと乾燥させる
紙を貼りつけたら、しっかりと乾燥させます。
お天気の良い日なら1日で乾きますが、早く乾かしたい方はドライヤーを使っても。
張り子のお面の作り方⑤:乾いたら型から外し、形を整える
しっかり乾かしたら、ゆっくりと型から外しましょう。
この時お面の内側が乾いてないようなら、ひっくり返して内側も乾かしてください。
乾燥が終わりましたら、土台からはみ出た部分を切り取ったり内側に折り込んだりして、形を整えます。
張り子のお面の作り方⑥:お面に水に溶かした紙粘土や胡粉を塗る
これでお面の形ができあがりますが、ここで作り方にもうひと工夫。
ペイントする前に、水に溶かした紙粘土をお面の表面全体にうすく塗っていきましょう。
こうすることで表面の凹凸がなめらかになり、ペイントしやすくなります。
ここで先ほどご紹介した胡粉を使うと、仕上がりが一段とキレイになりますよ。
張り子のお面の作り方⑦:再度乾燥させる
塗り終わったら、もう一度しっかり乾燥させます。
乾ききらないうちにペイントしてしまうと、絵の具がにじんだり油性ペンで上手く描けなかったりするので要注意。
張り子のお面の作り方⑧:絵の具などでペイントする
表面が乾いたら、ペイントしていきましょう。
ペイントする前に鉛筆などで下書きしてから始めると、失敗が少なくてすみます。
これで完成ですが絵の具が落ちるのが気になる人は、最後にニスを使って仕上げても。
張り子の作り方のポイント
張り子は工程や素材がシンプルなので作りやすく始めやすいですが、ちょっとした作り方のコツをおさえることで仕上がりに差が出ます。
いくつかご紹介いたしましょう。
- 型は丁寧かつ大まかに作る
- 紙は程よい大きさにしておく
- 厚みにムラができないよう、まんべんなく貼りつける
- 乾燥は表面だけでなく、裏側までしっかりと
- 仕上げの紙粘土や胡粉はあまり厚塗りしない
張り子の作り方のポイント①:型は丁寧かつ大まかに作る
張り子の型は、細かな部分まで作り込まなくても作りやすいようにできています。
むしろ、大まかな形を取ったほうが成功しやすいとも言えるでしょう。
その代わり型を丁寧に作るかどうかで、後々の仕上がりに差が出てきます。
顔の形はしっかり整えることと紙を貼りつける部分はなめらかにしておくこと、これが型の作り方の大切なポイントです。
張り子の作り方のポイント②:紙は程よい大きさにしておく
張り子に使う紙ですが、手間でもある程度の大きさにしておくと使いやすくなります。
大きいままで使うとシワができやすくなりますし、反対に小さくしすぎると貼りつけるのが大変に。
作りたい張り子に合わせた大きさにしておくと、扱いやすくまた貼りつける手間もそんなにかかりません。
また、ハサミなどを使わなくても手で裂くだけで十分ですので、準備しておきましょう。
張り子の作り方のポイント③:厚みにムラができないよう、まんべんなく貼りつける
貼りつける時のポイントですが、最初に習字用の紙を1層、次に新聞紙を1〜2層、仕上げに習字用の紙を何層か貼るだけである程度の強度が生まれます。
たくさん貼りつける必要はありませんが、厚みにムラができないように注意してください。
一層ごとにちょっとだけ乾かす時間を設けたり、貼りつける順番をあらかじめ決めておくとムラができにくくなりますよ。
張り子の作り方のポイント④:乾燥は裏側までしっかりと
張り子は紙とのりだけで出来ているので、しっかり乾燥しないとかんたんに形が崩れてしまいます。
また型から外す時に乾いてないと上手く外せず、せっかくキレイに貼った紙がはがれてしまうことも。
待つのも根気が必要ですが、しっかり乾燥させてから次の作業に取りかかりましょう。
上でもご紹介しましたが、時間短縮のためにドライヤーを使って乾かすのも一つの方法ですよ。
張り子の作り方のポイント⑤:仕上げの紙粘土や胡粉はあまり厚塗りしない
ペイント前に仕上げとして、水に溶かした紙粘土や胡粉を塗る方もいらっしゃると思います。
これらを使う時には、あまり厚塗りしないほうが良い場合があります。
確かに仕上げ材として水に溶かした紙粘土や胡粉を使うと、できあがりが一段とグレードアップしますが、塗りすぎると張り子に仕上げ材の重みがプラスされます。
特にお面は塗れば塗るほど重くなっていき、仕上がりはキレイなのに重くて顔につけられない!なんてことになりかねません。
紙粘土や胡粉を塗る時には、気をつけたほうが良さそうです。
風船を使った張り子の作り方
今まで紙粘土を使った型で作る張り子をご紹介してきましたが、実は風船を張り子の型に使うこともできます。
紙粘土よりも準備がかんたんなので、小さなお子さんかいらっしゃる方はこちらの作り方でチャレンジしてはいかがでしょうか。
- 風船を作りたいサイズにふくらませる
- 新聞紙や習字用の紙を何層か貼りつける
- しっかり乾燥させたのち、風船の空気を針などで抜く
- しぼんだ風船を取り出して、空いた穴を紙でふさぐ
- 細かなパーツをくっつけて乾燥させ、絵の具などでペイントする
では早速、作り方をみていきましょう。
風船を使った張り子の作り方①:風船を作りたいサイズにふくらませる
まずは型の作り方から。
風船を作りたい張り子の大きさに膨らませる、これだけです。
風船ですが、作りたいものがお面などの大きいものでしたら、普通サイズの風船を顔の大きさに合わせてふくらませてください。
貯金箱や置物など、小物が作りたい時は水風船を使うのがおすすめです。
どちらも100円ショップで手に入るリーズナブルさも魅力的ですね。
風船を使った張り子の作り方②:新聞紙や習字用の紙を何層か貼りつける
風船をふくらませたら、次は紙を貼りつけていきます。
お面でしたら、さきほどご紹介した作り方を参考にしてください。
小物など内側の部分が体に直接触れないのであれば、最初から新聞紙を貼りつけても問題ありません。
風船に紙を貼りつける場合、筆やハケを使っても良いのですが、手で直接貼りつけたほうが上手くいくことも。
小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でしたら、貼りつける紙を先に水で薄めたのりにひたしておくと作業が楽になりますよ。
風船を使った張り子の作り方③:しっかり乾燥させたのち、風船の空気を針などで抜く
貼り終わったら、しっかりと乾燥させましょう。
短冊状に切った画用紙を丸めてホッチキスなどで止めた土台を準備しても良いですが、風船のくくった部分をピンチではさみ、洗濯物のように吊るして乾かす方法もあります。
しっかり乾かしたら、針などで風船をつついて空気を抜きましょう。
お子さんの分は大人の方が空気を抜いてあげてくださいね。
風船を使った張り子の作り方④:しぼんだ風船を取り出して、空いた穴を紙でふさぐ
空気を抜いてしぼんだ風船を取り出します。
風船を取り出したあとの穴を有効活用すると貯金箱の作り方がとても楽になります。
置物として使いたい方は、風船を取り出したら残った紙で穴をふさいでください。
この時に木工用ボンドを置物の中にある程度流し込むと、起き上がりこぼしがかんたんに作れますよ。
風船を使った張り子の作り方⑤:細かなパーツをくっつけて乾燥させ、絵の具などでペイントする
本体ができあがったら、細かなパーツをくっつけていきます。
例えばブタの貯金箱の作り方でしたら、ここで別に作ったブタの手足や耳になる部分をボンドでくっつけましょう。
パーツがしっかりくっついたら、仕上げに水で溶かした紙粘土や胡粉を塗ってさらに乾かし、絵の具などでペイントしていきます。
置物や小物なら、英字新聞や千代紙などのカラフルな紙を貼りつけてもステキな作品になりそうですね。
おすすめの張り子を紹介している本
張り子は、日本の各地に民芸品として根付いてる身近な工芸品です。
かんたんなものは作れるからもっと本格的な張り子の作り方を知りたい!という方や、張り子の世界に興味がある方におすすめの本をご紹介いたします。
張り子が好きな方にも、作り方を探求したい方にもおすすめの一冊です。
キレイな写真と丁寧な説明で、張り子の魅力が満載。
また、本に掲載されている張り子は全てこの一冊で作ることができます。
作り方も写真つきで上手く作るコツも紹介されていますので、お好みの張り子をぜひ探してみてください。
風船など身近なもので張り子を手作りしてみよう
張り子は誰でも作りやすく、それでいてとても奥が深いです。
小さなお子さんの工作やご年配の方のレクリエーションにも、趣味としてこだわっても楽しめる張り子の世界。
みんなでワイワイ楽しみながら、一人静かな気持ちで向き合いながら、世界にひとつだけの張り子を作ってみてくださいね。