ボタンにはいろいろな種類がある
ボタン、と一口に言っても、穴の数や穴の位置などその形態によって付け方が違い、用途によっても使われるボタンが違うことから、素材も種類もいろいろとあります。
いわゆるボタンと呼ばれているものは、ボタンを通すボタンホール(ボタンを通す穴)があり、そこへ取り付けたボタンを通して使います。
もしくはスナップボタンに代表される凸凹のどちらもボタンホールを付けないで留め具で打ち付けたり、縫い留める方法で使うボタンもあります。
では、どのような種類のボタンがあるのか見ていきましょう。
- 2つの穴があるボタン
- 4つの穴があるボタン
- 足つきボタン
- スナップボタン
- カシメボタン
続いて5つの種類のボタンを詳しく見ていきます。
ボタンの種類①:2つの穴があるボタン
真ん中に2つの穴が空いている形のボタンは近年プラスチック素材で作られているものが多く、おしゃれなブラウスなどでは貝を素材にした物や、金属でできた2つ穴のボタンもあります。
主な用途はシャツやブラウスに使われていて、生地との固定が少ないことから指掛かりが良いので留め外しがしやすいのが特徴です。
2つ穴ボタンは他にも「力(ちから)ボタン」と言ってコートやジャケットのような厚い衣類の補強用ボタンとして裏地などに縫い付ける付け方もあります。
ボタンの種類②:4つの穴があるボタン
ボタン穴が4つ、スクエア型に空いている形のボタンで、厚手の生地などやや縫いにくいようなものにしっかりと縫い付けたいときに使われることが多く、また、最近はワイシャツにも多く用いられています。
海外のヴィンテージやアンティークボタンなどはガラスや牛乳に含まれるカゼインで作られていたりして、コレクターも多く希少価値のあるボタンもあります。
ボタンの種類③:足つきボタン
2つ穴や4つ穴ボタンのようなタイプと異なり、表からはボタンの穴が見えないタイプで、カーディガンやニットなどに使われることが多いボタンです。
ボタンの裏に縫い付けるための足がついているので、ボタンを付けるときに新たに糸足を作る必要がありません。
ガラスボタンや皮革素材などで作られて装飾が施してあることも多くデザイン性が高いボタンが特徴です。
ボタンの種類④:スナップボタン
子供服や介護が必要な人の服に使われることの多いスナップボタンは凸凹で一対のボタンになっており、以前は金属製が主流でしたが、近年では扱いやすいプラスチックのものも多くなりました。
こうしたプラスティック素材のスナップボタンはユニバーサルデザインとしても周知されるようになり、様々な分野で使われることが多くなりました。
ボタンの種類⑤:カシメボタン
金属製の画鋲を厚くした感じの作りで、ジーンズや革ジャン、バッグの装飾などにも使われることが多いカシメボタン。
素材にポンチなどの工具で穴をあけ、そこにカシメを入れて反対側を叩きつぶしすことで生地を両側から締め付けて、しっかり固定する方法で取り付けます。
ボタンの付け方のポイント
ボタンの付け方は小学校や中学校の授業で習うことが多いのですが、なんとなくしか覚えていなかったりして苦手な人も多いですよね。
でも、不意にボタンが取れてしまうなんてこともあるので、ボタンの付け方をおさらいしてみましょう。
こちらではボタンの付け方のポイントを見ていきます。
- 針は短めのものを使う
- 糸は2本どりにする
- 縫い始めは表側からすくう
- 糸足を作る
- 最後の糸の始末をきちんとする
ボタンの付け方のポイント①:針は短めのものを使う
ボタン付けを行う場合、短い距離を行ったり来たりするので針は短めのもを使うようにしましょう。
ボタン付けには太目の糸が適しているので、針孔がある程度大きいものを選ぶようにすると糸が通しやすくなります。
ボタンの付け方のポイント②:糸は2本どりにする
ボタンの付け方に適している糸はボタン専用のしっかりとした糸もありますが、専用の糸でなくても太目の糸や刺繍糸を使う人もいます。
ボタンの取り付け方として大切なのは、糸を2本どりすることですので、針孔に通した糸は両端を必ず結び糸が2本になるようにします。
この時、糸をあまり長くしてしまうと途中で絡まってしまいやすくなるので、欲張らず、ボタン1個ずつで足りる長さにしましょう。
ボタンの付け方のポイント③:縫い始めは表側からすくう
洋服のボタンの付け方で大切なのは最初と最後の糸の始末、いわゆる糸玉が見えないものが良いとされていて、この糸玉が隠れている状態だとボタンが取れにくい付け方となっています。
そのため、布に通す1針目は表に糸玉が見える状態で布を1針すくい、ボタンの穴に1針通し新たに布をすくっていくようにします。
ボタンの付け方のポイント④:糸足を作る
布にキッチリボタンが付いてしまっていると指にボタンが引っ掛かりにくくて、ボタン留めがしづらくなります。
そのためにもボタンの付け方として「糸足」を作ることはとても大切な工程になります。
後述で動画も交えてこの糸足の付け方をご紹介しますので参考になさってくださいね。
ボタンの付け方のポイント⑤:最後の糸の始末をきちんとする
こちらも前述の③同様、糸の始末をしっかりしておかないと糸がほどけてきやすくなるので、縫い終わった最後の糸はしっかりと糸足に通しましょう。
糸足が硬くて通せない場合は、結んだ糸はすぐに切らずにさらに布に通して軽く引っ張り布の中に埋めるようにします。
2つ穴ボタンの付け方
こちらでは2つ穴のボタンの付け方を動画で見ていきます。
動画は文字の説明はないですが、巨大なボタン使っているので手順が動画だけでもわかりやすく見られます。
針に糸を通し糸の両端を結んで2本どりにして、布のボタンの位置(あらかじめ印を付けておくとわかりやすい)で1針布をすくいます。
ボタンの穴に針を通し1針布をすくいボタンと生地の間に少し余裕を持たせながらボタンの穴に針を通し1針布をすくうを2~3回繰り返します。
ボタンと布の間の糸に3回糸を巻き付けたら輪を作りこの輪に針を通して糸を引き締めます。
4つ穴ボタンの付け方
こちらでは最も出番が多い4つ穴ボタンの付け方を動画で見ていきます。
最初にボタンの穴に針を通すとこまでは2つ穴ボタンと同じで、こちらも布とボタンの間に少し余裕を持たせるのを忘れないようにしましょう。
4つの穴のうち右側の二つの穴に糸を通し布を1すくいして、ボタンの穴に通す前にもう一度布をすくいます。
布をすくったら今度は残りの2つの穴に糸を通して、糸に余裕を持たせながらできるだけ同じ場所の布をすくうようにしましょう。
この工程を2回繰り返し、余裕を持たせていた布とボタンの間に糸を3回くらい巻き付けて、巻き付けた糸の根本で輪を作りそこに針をくぐらせ結びます。
糸足に糸を通して玉留めを作り裏側に針を通すか、糸足の中に糸を埋めて切ります。
足つきボタンの付け方
こちらでは足つきボタンの付け方を動画で見ていきます。
これまでの2つ穴・4つ穴と違い穴が下側にありますが、通す穴は1つなので付け方がわかるとスムーズにできます。
スタートはこちらもボタンを付ける位置(あらかじめ印を付けておくとわかりやすい)に1針挿し布をすくい、**ボタンの穴に針を通したら2本どりしている糸の間に針を通します。
この一手間でボタンがしっかり立つようになる**ので、この工程はしっかりと行うようにしましょう。
糸の間を通したら布を1針すくい表に針が出ている状態なのを確認して、また穴に針を通して今度はそのまま布をすくうのを2回繰り返します。
こちらの糸留めは裏側で糸を結び玉留めをしてから表側に針を通して糸を切ります。
スナップボタンの付け方
こちらでは一般的なスナップボタンの付け方を動画で見ていきますが、小さくてボタンが持ちづらい場合はボタンを待ち針で留めてから行うと付けやすくなります。
スナップボタンは凸凹の2個で1セットになっているので縫う工程が多くなりますが、糸足を作る必要がなく、仕上げに糸足に巻く工程もありません。
スナップボタンの場合、糸は2本どりせずに1本で縫っていきます。
まず凸の方から縫い付けていくのですが、留めるときに凸が上側になるように確認してから初めてください。
縫い始めはこれまでと同じように表面の布を1針すくい糸が表に残るようにしておきます。
スナップボタンの脇にある穴の一つを通して(どれでもOK)生地に針を刺し、次の穴に行く手前で糸の間をくぐらせて次の穴に針を刺します。
この手順をを3~4回繰り返し、別の穴に移るときは縫い目の下を見くぐらせて穴の近くから針を出し、一つめ目の穴と同じ手順を繰り返します。
全ての穴で同じ工程を繰り返したら、縫い目が密集している糸束の近くに1針さし、糸を結んで糸玉を作り中心に向かって針を通し糸を切ります。
同じ工程で凹のスナップを付けていくのですが、位置がずれてしまわないよう確認してから取り付けるようにしましょう。
スナップボタンのつけ方については、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
スナップボタンの付け方を解説!裁縫の基本や縫わない方法もご紹介スナップボタンとは?
スナップボタンはでっぱりのある凸、へこみのある凹で一対のボタンになって...
ボタンを取れにくくするコツ
ボタンが取れにくくするコツはなんと言っても「足糸」をしっかりと作り、この足糸に糸を数回通して始末することです。
この工程だけでも糸がほどけにくくなり、ボタンが割れたりしない限りはずっと持つなんてこともあるので、丁寧に付けましょう。
裁縫に自信がない人や糸足が上手く作れない人は「裁ほう上手」のような裁縫用ボンドなどを糸に少しつけるだけでも糸足がしっかりするのでお試しあれ。
外出先でボタンが取れかかったときの対処法
外出先で気が付いたらボタンが取れそうになってしまったり、取れてしまったときなど、急な場面で知っておくといい応急処置方法があります。
生地の厚さや固さによっては難しいケースもありますが、生地の裏側にボタンをあててボタン穴に生地ごと通すと一時的に留めることができるので覚えておくと役にたちます。
おすすめの洋裁本
返し縫やまつり縫いなど手縫いのいろいろな縫い方、パンツの丈つめの仕方、裁断の仕方、ファスナーの付け方、もちろんボタンの付け方やボタンホールの作り方も載っています。
手縫いでの始末の仕方から載っているので、ミシンがない人にも見やすく解りやすいと好評で教科書的に使っている人も多いそう。
洋裁の基礎が学べる本を多数発刊しているクライ・ムキさんならではなのわかりやすい解説と写真付きの一冊です。
ボタンの付け方は簡単なので覚えておきましょう
ボタンの付け方は覚えてしまえばさほど難しい工程はないので、手順だけでも覚えておくと良いでしょう。
糸の始末の仕方のコツ通りにやれば使っていても糸切れを起こすこともほとんどなくなります。
裁縫下手な人やボタン付けが苦手な人は、針や糸がいらないワンタッチでボタン付けができる道具もおすすめ。
情報番組などテレビで紹介されたことで、一躍人気となった便利グッズを上手く活用してボタンが取れたまま…なんてことがないようにしたいものですね。